映像や画像などのデータを保存する記録メディアが世代交代のピッチを早めている。約5年前に普及し始めたDVDは、来年には早くも販売枚数が減ると予想されている。そこで気になるのが、記録した「思い出」を、何に、どう残せばよいかだ。専門家は「残すデータを厳選し、複数に記録する」ことを勧める。多くの記録メディアが乱立する変革期に、保存代行の新サービスも盛んだ。(塩原永久)
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「録画再生機市場で、VHSからDVDへ移行するより、DVDからブルーレイ・ディスクへの移行スピードが1・5倍早かった」
市場調査会社GfKジャパンはこんな分析結果を示した。業界団体の日本記録メディア工業会もDVDが「来年をピークに減少期に入る」と予測。フロッピーディスクや、一時「次世代メディア」と注目されたMO(光磁気ディスク)にいたっては、「役割を終えつつある」と指摘した。
記録メディアの移り変わりは、より大きなデータを記録できるようにする技術進歩が背景にあるが、高画質な映像も残せるようになった半面、互換性の問題から、新型の機器で「せっかく記録しておいた昔の番組が視聴できない」という事態も起きかねない。
現在の主流は(1)ハードディスク駆動装置(HDD)(2)DVDやブルーレイ・ディスクの光ディスク(3)半導体メモリーの3種類。再生機器がなくなりつつあるアナログ方式の記録メディアは、新方式に移し替える時期に差しかかっている。
専門家が勧める解決策は「残すものを厳選」「複数のメディアに記録」が原則のようだ。家電に詳しい調査会社BCNの道越一郎アナリストは「種類により長所と短所があり、特徴にあった使い方をするべきだ」という。光ディスクは長期保存の素材劣化による読み取りエラーの危険があり、衝撃に弱いHDDは壊れればデータが消えてしまう可能性もあるといい、「安全策として複数に保存しておくのがよい」と話す。
移し替えニーズを狙った製品も相次ぐ。VHSとDVDがともに使える録画再生機をパナソニックやシャープが投入。ソニーは8ミリなどからDVDにコピーできる専用機器を出す。
家電量販店のビックカメラ有楽町店(東京都千代田区)は、VHSや8ミリなどをDVDやブルーレイに移し替えるサービスに力を入れ、「最近、利用者が増えた」(担当者)という。
今後も記録メディアの世代交代が起きるとみられ、メーカー関係者は「技術が5年ごとに移り変わる前提で考えるしかない」と打ち明ける。一方、顧客から大量のデータを預かって保管し、好きなときにネット経由で配信する「記録メディア不要の新世代サービス」(道越アナリスト)が登場するとの見方もある。
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