美少女イラスト商品人気 羽後産コメ、焼酎、イチゴ

市女がさ姿の少女が袋に印刷されているコメ。うご農協が10月から販売している
農事組合法人こまち野が販売するイチゴの箱にはオリジナルキャタクター「うご野いちごちゃん」が描かれている
 秋田県羽後町の農協や酒販店などが今秋、人気イラストレーターの美少女イラストを包装に使った地元産品を販売したところ、全国から注文が舞い込むヒットとなった。話題先行型と思われがちだが、いずれも商品自体の質にこだわり、値段は高めの設定。不況で低価格商品に注目が集まる中、イラストを使って付加価値を高め、若年層の取り込みに成功した。(横手支局・渡辺晋輔)

<32トンネット販売>
 約32トン。うご農協が10月に発売したイラスト入り「あきたこまち」の販売量だ。袋には、稲穂を抱える市女がさの少女が描かれている。

 インターネット限定で11月末までの量だが、農協がこれまで消費者に直接販売していた年間18トンを、2カ月で軽く上回った。価格は5キロ入り2730円(税込み)。量販店などで扱っている通常の県産米より500円程度高い。

 イラストは、アニメやゲームのキャラクター作成などで活躍する東京在住の西又葵さんの作品。西又さんは6月に行われた美少女イラストコンテストの審査員として羽後町を訪れた際、農作物や自然に感銘を受け、「町のために」とイラストを描くことになった。

<当初は半信半疑>
 当初、農協側は効果に半信半疑だった。ところが、販売開始直後から注文がひっきりなしの状態に。「95%以上が秋田県外から」(農協)で、20、30代の男性が多いという。中には40キロ分を頼んだ人もいた。

 農協は、完熟堆肥(たいひ)を使用して栽培するなどコメの品質向上にも力を注ぎ、差別化を図っている。

 営農販売課の佐々木常芳課長は「品質が良くて価格は安いという流れにどれだけ立ち向かえるかが問われている。今回は従来の顧客と違う若い人にアピールできた」と喜ぶ。

 西又さんの協力を得て、少女のイラストはほかの商品も飾った。第2弾は町内の酒販店4軒が発売した本格焼酎「花嫁道中」。ラベルや瓶に凝った独自の商品で、720ミリリットル入り1300円(ケース代、税込み)。10月に1000本限定で発売し月内に完売した。

<情報発信に効果>
 今月1日からは、農事組合法人「こまち野」のイチゴが加わった。箱のデザインには、イチゴの帽子をかぶった独自のキャラクターが採用されている。低農薬で育てた15個から20個ほどの大粒のイチゴが並ぶ。1890円(税込み)で売り出し、一日で100箱を販売した。

 いずれも商品化には、町出身の会社員山内貴範さん(23)=東京在住=がかかわった。中学時代から地元商店の広告などにイラストを描いており、その経験からイラストコンテストを手弁当で企画。さらに商品化へと発展させた。

 山内さんは「生産者のこだわりが感じられる商品を選んだ。イラストが商品のイメージに合致したのが売れた要因では」と分析。「若い人に地元への誇りを持ってもらいたかった。農作物とイラストの組み合わせは先駆的で、地域の情報発信力を高められたのではないか」と話している。
2008年12月07日日曜日

秋田

経済



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