Britty aka User:Aphaia の ウィキメディアプロジェクト回遊日誌
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いちおう高級紙、ということらしいのですが、カナダの新聞 Globe and Mail に "Here come the Wikipedia police" なる批判記事がでました。私はオンライン版をメールで送って貰ったので URL は知らない。
ある記者が(なんかその日面白くないことがあったらしい)英語版ウィキペディアで乱暴狼藉をして、要するに荒らし行為ですね*2、そいであるユーザに警告をもらったので*3「なんでい誰でも編集できるんじゃなかったのかい」的にぶーたれている*4のですが……
Blog で批判コメントなどにより火だるまというのはききますが、新聞のオンライン版が炎上するってのは日本では聞いたことがない気がする& こういう人がいる以上、「誰でも(つまり荒らしでも誰でも)編集できます」とは、やはりいえないよなあ、と思う日曜の午後。百科事典の編集には誰でも参加できるということと、内容を問わず誰でも編集行為ができます、ということとは、やはり同一ではないようで。ところで、この記者、社員なのかフリーランスで寄稿してるのか、どっちなんだろ*5。
まだ続くのかよ、ぉぃ。
特定言語のコミュニティが、ではなくて運営団体である WMF が、ということをおっしゃってるのですよね?(確認) 以下雑感。
JAWP はどうも(向いている方向が同じか違うかどうかではなく)、国際的に孤立していて情報の流れが相互に途絶している感があるので、ちょっと気になっています。対外的なことは法人格がない以上限界があるのだし、ある程度コミュニティで道筋をつけておいてから理事会に相談して財団とコミュニティが協調して事にあたる、というような、ほかではあたりまえになされていることが、そもそも選択肢に入っていないのじゃないか、ということも時に感じるのですが、それは視点の違いでしょうか。
ただ、日本語コミュニィの "community leader" が知られていない、ほかと接触がない。*1ということは、ジンボさんが最近 foundation-l で指摘していたことでもあり、JAWP の孤立ということは私だけの懸念ではないようにも思っています。
すこし踏み込んで私なりの解釈を加えれば、JAWP の活動は、ウィキメディアプロジェクトのコミュニティとも、財団の活動ともぜんぜん切れているところで行われていて、どころか何が行われているのかは、実際に個別のところにかかわっている人にしかわからないのではなかろうか。いわば両方が両方にとってブラックボックスになってる。
もっともこういうのは、JAWP だけの話ではありません。JA ほど大きいところで孤立しているところは珍しいけれど、各言語版の総体をみれば、まあ、財団関係のところに顔を出す人がいるところのほうが、少ない。ただ、ある程度大きなところは、対外的な活動を行うことを余儀なくされるし、その場合は財団と協調したほうがいいだろうと思ってます。そうでないと車輪を発明するようなことがまま起こるし、また郵便ポストと電話を備えた運営/支援団体はいまのところ日本国内にはないので、その意味でも財団との協調は JAWP にとって意味がある。ほんとによんどころないんだったら、財団のお金で日本の弁護士を雇うこともできるわけだし*2。
ES の例をひくまでもなく(Encyclopedia Libre の分裂騒動は財団が実体を備える前でしたが)、交流がとだえるというのはのちのち大きなコストを要することにもなりかねない。私が翻訳関係に力をいれているのは、folk の後始末がどれだけ大変かを、あちこちでみてきたからでもあります。なんだけど、たぶんそれだけでは足りない。各コミュニティの主だった人たちが、もっと財団の活動にかかわってこないと、結局 En や De, あるいは It なんかがいま享受している情報の共有とそれによってえられるメリットは実感できないのじゃないか、という気がする*3。
私が wmf-cc で担当しているのは翻訳&小プロジェクト宣伝で、個別ローカルプロジェクトと財団の連絡業務は別の作業部会の担当なのですが、たまたま JA が母語である(なので読める)せいもあって、そして翻訳の仕事をする際にいろいろなコミュニティの実情に触れる機会もあるので、日頃解決すべき課題かなと考えていることについて、ちょと書いてみました。
*1:私は JAWP に関しては員数外だと思う、この話は別エントリで。
*2:一方、これはいまのところはとても実現可能性の薄い話です。だって、JAWP のだれも、そんなことが必要だとは主張していませんからね。財団がわからみれば、日々是好日、とみえるでしょう。info-ja の処理能力がかなり厳しい、ということは最近私が指摘するまで、WMF では誰も気づいてなかったし、私にも info-ja の中の人が具体的にどんな案件を扱っているのかは、わからない。一方、折々問題があったときには、日本の法律事務所の弁護士を紹介しようか、と財団の中の人から打診してきたこともあるので、JAでどうしても必要だといえば、弁護士やその他法曹関係者を探してくることは、財団のほうでしてくれる、という実感を私個人はもっています。
*3:Es や Zh はまだそれでも翻訳には熱心なのですが、local な話題以上のところで意見をいう人は少ないなあというのが実感でもある。
*4:ただし現在inactive.
*5:48時間内に2人以上の開始賛成がないと流局。
*6:当事者の同意と調停者の引き受けが必要、つまり3人以上の同意。合意による調停、強制力なし。
*7:ArbCom委員半数以上による賛成をもって引き受け。専用ircチャンネルあり。裁定結果は強制力あり。
もうひとつのうちそとの視線ということについては、確かに現象はそのとおりだと思います。だが前提として、コミットメントの深度全般が ja は浅いのではないか、ということが気になっています。これは jawiki については管理者立候補の連続などに萌芽がみえるように、今後変わっていくのかなとも思っていますが。
管理者権限と同様、関わるほうが自分のやりたいと思っている活動がより効果的により満足のいく仕方で行える、という予感ないし実感がなければ、WMF 方面の活動に関わっていこうという人は結局は増えてはいかないのでしょうから。むしろ、外部(行政とか他団体とか)とかかわっていくときに、WMF との協調の利点が意識されてくるということなのかなあと思っています。とはいえ中国語版封鎖のことを「よその国のことだから関係ない」というように公言する人がいる、というのは、やはり外を見ている人が少ない、プロジェクトに理念的に共感した上で支えていくというよりは jawiki だけがあればあとは気にしないというような意識のあり方もあるのかな。と。杞憂ならばよいのですが。
逆に irc はなくてもすむので、あまり大きな要因であるとは私は考えていません。英語が必要だというのは、そのとおりだと思います。Jimbo さんの指摘も、ML で出てきて英語で議論したり、Wikimania に出席して他の人たちと interact したり、公式非公式両面でトータルに深いコミットメントを財団向けとコミュニティ向けと両方にもっている人がいない、という指摘なのだと思っています。Zh は比較的人が出てきている印象が私などはあるのですが、それでもまだ足りないのだとすると、Ja や Ar といったところは、やっぱブラックホールに見えるだろうな。と。