Britty aka User:Aphaia の ウィキメディアプロジェクト回遊日誌
本家 | ウィキメディア見聞録(休止中) | My Profile: meta | テクノラティ
|
||
昨日のエントリにいただいたコメントに、コメント欄ではなく、こちらでお返事をしてみます。
id:mogumoge さん
こちらのコメントにも書きましたがもうひとつの方法としてはアフィリエイトはどうなんでしょうか。アマゾンなんかの関連商品表示くらいでしたら情報の中立性も保たれると思います
アマゾンのアフィリエイトは英語版では過去検討されたことがありますが、議論の末、否決されています。そのときとあまり状況が変わったとは私は認識していません。この議論については、昨日コメント欄もご参照ください。
営利化については、もうひとつ、考えないといけない状況があります。
いまのウィキペディアが、いまの資金状況で、成り立っているのは「みんながボランティアで活動している」ということがあります。人件費が大幅に圧縮されている。コンテンツそのものにかかわる部分はゼロですし、問い合わせやマスコミ対応なども、非常勤職員1人、常勤1人、あとは全員ボランティアです*1。
収益事業になった場合、お勤めの方は、兼業規定に差し障るので活動が出来ないということもありえます(英語版ではすでに勤め先から活動に一定の条件を課される方も出てきています。これとあれはやらない、というような消極的制限ですが)。そうすると収益事業にしたことで、人的資源のアロケーションが大幅に変わり、いままで出来ていたことがかえって出来ないということになり、人を雇わなければいけなくなって、かえって高コスト体質になり、やはりプロジェクトとしては立ち行かない。それも現在の状況よりももっと早く立ち行かなくなるし、コンテンツの充実も図れないという懸念があるという分析もなされています。厳密に数値実験したわけではないので、あくまでも可能性のひとつに過ぎませんが、ご参考までに。
確かにこれだけ(引用者注:現在月額7万5千ドル、GIGAZINE では増加分をいれて3ヶ月につき87万5000ドルと試算)の金額が必要となると、多少広告を貼った程度では維持できませんね、たぶん。
なお、広告をいれるリスクと利益については、ご指摘の、広告をいれた額でいまの経費が本当にまかなえるのか、という問題もさることながら、広告で入る額と離間するユーザのトレードオフという、上で触れたのと似たような問題もあると私は考えています。
*1:ドイツ支部は専属職員が一人いますが、一応別組織ですし別勘定としておきます。
http://www.viadigitalis.org/index.php/?p=185
から正確に引用すると
"At this point, Wikipedia has the financial resources to run its
servers for about 3 to 4 months. If we do not find additional funding, it is not impossible that Wikipedia might disappear."
(試訳)現在、ウィキペディアは3ヶ月から4ヶ月サーバを運用するだけの財源をもっています。もし資金の追加がなければ、ウィキペディアが消えてしまうことだってありえないことではありません。
世界でアクセス10位以内のウェブサイトを広告なしで運営するのは、お金がかかります。いくら必要なのか、というと今は月に7万5千ドルほどですね*1。他のサイトはみな企業サイトですから、予算も人員も物資も潤沢でしょうけど*2。ただし「ありえないことではありません」は「閉鎖してしまう」というような確定事項ではありません。ウィキペディアが早晩消えてしまう、ということではないのです。と、財団の広報担当の人もいっています。
ドゥヴォアール理事長がここでいっているのは、むしろ、プロジェクトの運営にはつねに資金が必要なこと、そしてこの地球規模で発展するプロジェクトにおいては、一般の参加者も含めた関係者がみな協力してうまい資金調達の方法を見つける必要があるということに過ぎません。英語版ウィキペディアでは常時掲載されていますが、サイトは常時寄付を受け付けています!
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=7320255
Jimmy Wales が NPR (米国公共放送ラジオ)に出演して「ウィキペディアでの速報」について語ります。きっかけになった記事は Anna Nicole Smith。訃報のあとひどく荒らされた/会話ページが伝言板状態になったので、一時期は会話ページ含めて保護されてました。
一部ではgoogleに買収されググルペディアになるなんて書き込みを見ましたが・・・。
なお、ウィキメディア財団は社会福祉事業を行う非営利団体ですので、法的に「企業に買収される」ということはかなり難しいのではないでしょうか。米国法をきちんと理解しているわけではないので断言しませんが、不可能ではないかと私個人は考えています(買収とおっしゃる方々はウィキペディアが営利事業だと考えているのじゃないかしら。エントリでも書いたように、違うんですけどね)。
>>なお、ウィキメディア財団は社会福祉事業を行う非営利団体ですので、法的に「企業に買収される」ということはかなり難しいのではないでしょうか。
なるほど。株式会社ではないですし買収されるなんてこともないわけですか。
しかし、団体側から企業への売却ということも考えられませんか?
http://www.gekiron.info/modules/news/80.html
こちらのコメントにも書きましたがもうひとつの方法としてはアフィリエイトはどうなんでしょうか。アマゾンなんかの関連商品表示くらいでしたら情報の中立性も保たれると思います。
アマゾンのアフリエイトは英語版で過去検討されたことがありますが「アマゾンのワンクリック政策は独占的で支持できない」と否決されています。現状では難しいでしょうね。
最近の寄付キャンペーンでは、マッチングドネーションを提供したヴァージングループのロゴをこちらの判断で表示したところ、財団だけでなくヴァージングループへ抗議が行くということがありました。その余波で、もう一件実はある企業がマッチングドネーションを提供する予定だったのですが、こちらはキャンセルされました。オープンコミュニティの反商業論理というのは非常に強いものがあります。コンテンツをパッケージにして売るのはいいけれど、本体には絶対に商業資本を入れさせない、という論理が通底しているようです。そのような状況下で、いまのウィキペディアに広告を出すことは、グローバルに見れば企業にとってはリスクを伴う行為なのかもしれませんね。