関係各位
「当教団牧師による性的加害問題の経緯と再発防止への決意」の公表にあたって
付:週刊誌「アエラ」の記事に関して
2008年4月8日
日本ホーリネス教団
教団委員会
人権対策室

 人権対策室では、教会における性的加害・被害の防止と啓発のための活動に取り組んでまいりました。その中で、私たちの教団で起きた、牧師による性的加害についての検証・公表の必要を覚え、昨年の教団総会において、教団委員長が経過説明をいたしました。
 今年1月、セクシュアル・ハラスメント防止・相談室の窓口業務を開始しましたが、この防止・相談室の開設にあたり、同じ過ちを繰り返さないという決意を教団で共有するため、その趣旨を教団総会において報告し、決意表明の文書作成の作業を続けてまいりました。
 このたび、その文書がまとまりましたので、教団内諸教会と関係機関に公表いたします。

 さて、こうした準備を終えようとしていた4月7日、週刊誌『アエラ』(AERA、4月14日号、朝日新聞社)に、「神よ怒れ◆キリスト教会の『性犯罪』」という記事が載り、当教団の元牧師の件も取り上げられました。「日本ホーリネス教団」という名称も明記されています。
 この件への教団の対応について、『アエラ』側から事前に取材の申し入れがありました。企業や政府機関の不祥事報道で周知のとおり、起こった出来事に対する責任とともに、説明責任を果たすことに対する社会の要請が高まっていることは、キリスト教会についても例外ではありません。そこで、教団として取材に応じました。このような記事が、一般誌に取り上げられることは非常に残念なことであり、内容も私どもが望むようなものではありませんが、教団の対応についての事実誤認等はないと考えています。

 私たちとしては、私たちの教団の中から生じた罪によって、神の御名が汚されているこの事実を重く受け止め、私たちの歩みが聖くされ、神のみ旨に適うものとなることを目指して、一層の努力を重ねていく決意を新たにしています。
 このような私たちの教団の取り組みについて、ご理解とご協力、そしてさらなるお祈りをお願いいたします。  
 

 



当教団牧師による性的加害問題の経緯と再発防止への決意
ーーセクシュアル・ハラスメント防止・相談室開設にあたりーー
2008.4.8.
日本ホーリネス教団 教団委員長 
内藤 達朗  
総務局長 
中道 善次  
人権対策室長 
島津 吉成  

 日本ホーリネス教団は、セクシュアル・ハラスメント防止・相談室の開設にあたり、神の聖さに与るものとして歩むことを目指し、過ちを繰り返さないという決意を表明します。そのために、当教団K元牧師が引き起こした性的加害の事実について、慙愧の思いをもって、当教団が対応してきたことを改めて公表します。
 1999年4月に、被害者の女性Aさんの母親Bさんより文書が教団に届けられ、当教団K元牧師(以下「K元牧師」という)がAさんに性的被害を与えた事実を知りました。直ちに教団委員2名がK元牧師に会い、確認をしたところ、その性的加害の事実を認めました。当時の総務局長がK元牧師とその妻を連れ、被害者であるAさんご家族に謝罪に行きましたが、K元牧師はAさんご家族に誠意の伝わる謝罪ができたとは言いがたい状況でした。その後、教団は、Aさんご家族から連絡の仲介を依頼され、何十回となく両者の文書を仲介しました。
 そして、教団は1999年11月の機関紙「りばいばる」で、K元牧師を除名処分とする公示を発表しました。その直後、当時の教団委員長、教団委員会名で、『K元牧師に関する「公示」にいたる経過とお願い』の文書を、各教会牧師宛に送りました。
 当教団はK元牧師に関する監督責任を怠っていたことを認め、1999年11月、教団委員長と総務局長はAさんご家族に謝罪し、解決金を支払い、合意書を交わしました。私たちの願いは、被害者のAさんが立ち直ることでした。そのため当教団は、Aさんに二次被害が及ばないことを考え、その時点では詳細を公表することを控えました。
 他方、教団はK元牧師に、牧会していたH教会の地域から離れることを命じましたが、応じなかったため、H教会は混乱しました。教団はH教会再建委員会を発足し、教区と教会とともに対応しましたが、教会の回復は難しく、また、教会が有していた負債の返済が困難となり、閉鎖することとなりました。
 2003年12月、被害者の母親Bさんより、当時の教団委員長と総務局長宛に手紙が届き、Aさんが自死されたことを伺いました。一日も早く元気になって欲しいと願っていただけに、大きなショックを受けました。以後、Bさんからは、当教団が真摯にこのようなことの再発防止に努めるようにと、継続して教団に手紙が届いています。
 こうした経緯を通じ、これはK元牧師だけでなく、どの牧師でも陥り得るものであり、教団として、二度とこのようなことを起こさないために、防止と啓発に取り組むことが必要であるとの認識を強く持ちました。そのために、2005年(秋)に『人権対策準備室』(現・人権対策室)を立ち上げ、こうした被害の防止策や啓発にあたっての理念づくり、被害相談のあり方や体制づくり、実際の啓発文書の作成を進めてまいりました。
 そして、2007年の教団総会において「セクシュアル・ハラスメント防止・相談室」設置を決議し、相談員たちの研修・育成をし、2008年1月1日に同防止・相談窓口を開設しました。それとともに、人権対策準備室で作成した啓発パンフレット「人権問題としてのセクシュアル・ハラスメント」と電話相談窓口の案内を、当教団の全教会および、関連する諸教団、諸団体、諸教会に配布し、セミナー、研修会、教区会等において啓発、再発防止活動を進めつつあります。
 日本ホーリネス教団は、このような不祥事を起こしたことを、教会の痛みと責任として重く受け止めます。そして、主に悔い改めるとともに、被害者ご家族をはじめ深い痛みを負われた皆様に改めて謝罪の意を表します。今後再びこのようなことの無いように、啓発・防止に努め、苦しむ者の傍らに立つことを努めてまいります。