キレる高齢者急増 粗暴犯12倍にも 東北

 高齢者の粗暴事件が東北で多発している。宮城県で2007年に摘発された65歳以上の人は38人で、3人だった1997年の12.7倍に増えた。ほかの県も90年代の最高12倍に増加している。お年寄りの粗暴犯は全国的に増えていて、専門家は「核家族化で老人が孤立し、不満をぶつけられずにイライラを募らせているのではないか」とみている。

 宮城県警によると、97―07年に暴行、傷害容疑などで逮捕されたり、書類送検されたりした高齢者はグラフの通り。02年から増加傾向が続いている。

 青森県も97年に2人だったのが、07年に24人に増加。岩手県も3人から23人に増えた。秋田、山形県の07年の摘発者は19人、29人で04年より11人、17人ずつ多くなっている。福島県警は年代別粗暴犯の統計を取っていない。

 宮城県ではことし、栗原市の無職男(67)が知人女性と口論になってけがをさせたとして、傷害容疑で逮捕された。大崎市の無職男(77)が長男とけんかして刃物で切りつけ、東松島市の無職男(68)が裁判所から罰金命令を受けたことに腹を立てて職員を脅す事件も起きた。

 自治体の窓口に言い掛かりに近いクレームを言う高齢者も目立つ。宮城県の話では、県政相談室で2時間近く質問を続けたり、10年以上前の事案の回答を求めたりするお年寄りがいるという。

 高齢者の粗暴犯の増加は全国的な傾向で、2008年版の犯罪白書は「高齢者だからといって良識をわきまえているわけでなく、社会生活の中で高齢者を指導、教育する方策を考えるべきだ」と指摘している。

 仙台市健康福祉事業団の湯村和彦シルバーセンター事業課長は「不況と核家族化で、一人暮らしで生活苦の高齢者が増えたことが原因。話し相手がおらず、リストラなどの不満がたまって暴発したのではないか。高齢者に孤立感を味わわせず、社会参画を促す仕組みが必要だ」と訴えている。

[高齢粗暴犯の全国的傾向] 法務省によると、2007年に暴行、傷害事件で摘発された高齢者は2946人。335人だった1997年の8.8倍に増えた。2000年以降の増加率が高く、02年に初めて1000人を突破した。粗暴犯は暴行、傷害のほか、脅迫、恐喝、凶器準備集合を含む。
2008年12月07日日曜日

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