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控訴審は一審の結論尊重 最高裁、裁判員制度へ報告書

2008年11月11日23時30分

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 来年5月に始まる裁判員制度に向けて、最高裁判所の司法研修所は11日、市民が審理に参加した一審の結論を、裁判官だけの二審もできるだけ尊重すべきだとする研究報告書をまとめた。結論を覆せるのは「(一審の判断が)明らかに不合理」な場合などに限られる、としている。

 一審と異なる判断ができるという控訴審の位置づけは、裁判員制度が始まっても変わらず、一審で示された市民の判断を控訴審がどう取り扱うかは制度上の課題と指摘されてきた。今回の報告に拘束力はないが、全国の裁判官が参考にするため影響は大きい。

 報告は、一審の判断について「国民の視点、感覚、知識、経験が反映することになる」とし、市民感覚が反映された結果を控訴審もできる限り尊重する必要があると指摘。一審の判断の範囲に限って控訴審が妥当かどうかを検討する「事後審の徹底」という基本的な考え方を示した。

 これまでは、一審の判断が控訴審で変わることも多かった。だが、今後は明らかに不合理な場合などに限られるとして、報告は「破棄する場合は例外的なものに絞り込まれることになると思われる」とも述べている。

 また、これまで裁判が長期化する理由の一つとなってきた精神鑑定については「原則として公判前に1回にすることが望ましい」と盛り込まれた。裁判員が鑑定医の意見に必要以上に引っ張られないよう、責任能力の結論に直結するような意見を示すのは「できるだけ避けるのが望ましい」としている。(中井大助)

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