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【コラム】「IMFコンプレックス」の克服を(下)

 IMFがでたらめだったという意味ではない。当時あれだけ厳しかったIMFが最近あまりにおとなしいことから発した言葉だ。現在の世界経済は米国の金融破綻で皆が集中治療室に入った状況だ。アジア通貨危機当時ほどではなくとも、IMFは今回の危機の原因と対策についてまともな報告書を一つぐらい出してもよさそうなものだ。

 「IMF模範生」の韓国は、通貨危機後に経済の基本骨格をIMF式に組み直した。資本市場を完全に開放し、企業の支配構造を変え、米国式の会計、業績評価制度を導入した。しかし、世界的金融危機はIMF式が全てが正しいわけでも、常にグローバル・スタンダードを代表するものでもないことを示している。

 株式市場の開放にしてもそうだ。韓国は通貨危機を契機にして、外国人持ち株比率の上限を26%から無制限に開放した。外国人による敵対的企業買収を認め、外国人による投資登録申告義務をもなくしたに等しい。これにより、株式市場における外国人持ち株比率は、1990年代半ばには10%台にすぎなかったが、2004年には44%まで上昇し、今年初めには32%だった。アジアの株式市場の平均外国人持ち株比率の2倍に達する数字だ。銀行の外国人持ち株比率は金融危機前の時点で73%だった。世界にこんな国はない。

 IMFの行動隊長といわれる信用格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは最近、韓国の銀行に対する格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に下方修正した。米政府から数百億ドルの公的支援を受けたシティグループとAIGの格付けがサムスン電子よりも高い「Aa3」に据え置かれているのにもかかわらずだ。偏向的でなければ、こんな横暴なやり方はあり得ない。しかし、われわれが憤慨してもIMF式の国際秩序は変わらない。韓国が当初IMFに接近したことが間違いだ。接近しなければIMFやムーディーズに責められることも瓦解することもない。そのためには韓国経済は現在よりもはるかに強く、大きくならなければならない。それがIMFを乗り越える道だ。

李濬(イ・ジュン) 論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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