私は新宿に小さなワンルームマンションを4戸所有している。ある時期、韓国人留学生ばかり、延べにして100名前後の韓国人が賃借人となった。
ある冬のことである。韓国の高校を卒業したばかりの女子学生が父親に連れられて来た。まだ18歳だから初々しく、韓国の歌手のチョーガプキョン(古い話で失礼)に似た可愛らしい女の子だった。
日本語学校に入学して、その後日本の大学に行くとのことで希望に満ちた表情が印象的だった。
外国人に部屋を提供するのは、正直、日本人に比べて色々気苦労が多いのは事実だ。差別ではないが、大家が外国人を敬遠する気持ちも分からないではない。
彼女は、韓国人としてはほとんどトラブルのない人だった。その後、解約するまで一度も会ったこともなく契約更新も電話で済ませたほどだった。
入居3年目のある日、突然解約するという電話があった。家主としては中途解約が一番痛いが、それは仕方ないことだ。
彼女に会って、解約手続きをした。大学を退学し、韓国に帰るという。しかし彼女の3年前の輝いていた姿はどこにもなく、生活に疲れた表情が痛々しいほどだった。
彼女の身の上に何が起きたかは知らないが、大家の直感として部屋に入れば、その部屋がどのように使われてきたかは大体推測がつく。男と同居してきたな、と思った。厳密に言えば契約違反だが、そんなことを言っても仕方ない。それより、彼女が水商売には身を染めていなかったのは十分分かった。「まあ、これから韓国で頑張れ」と言って見送った。
今、韓国で日本留学を夢見ている諸君。留学はそんなに甘くないことを肝に銘じてもらえたらと思う。
(変な想像をしてお読み下さった方には、ごめんなさい)