中野文庫 皇族班位・皇位継承順位

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総 説

 班位とは、天皇陛下を中心とした皇族方のご順位をいう(旧皇族身位令1条ないし7条)。

  1. 皇后(天皇のご正配)
  2. 太皇太后(先々帝以前の天皇のご正配)
  3. 皇太后(先帝のご正配)
  4. 皇太子(儲嗣たる皇子)
  5. 皇太子妃(皇太子のご正配)
  6. 皇太孫(皇太子がいらっしゃらないときにおける儲嗣たる皇孫)
  7. 皇太孫妃(皇太孫のご正配)
  8. 親王(旧皇室典範では皇子より皇玄孫に至る皇男子孫、現行皇室典範では嫡出の皇男子及び嫡男系嫡出の皇男子孫)
    親王妃(親王のご正配)
    内親王(
    旧皇室典範では皇子より皇玄孫に至る皇女子孫、現行皇室典範では嫡出の皇女子及び嫡男系嫡出の皇女子孫)
    (
    旧皇室典範では五世以下の皇男子孫、現行皇室典範では三世以下の嫡男系嫡出の皇男子孫)
    王妃(王のご正配)
    女王(
    旧皇室典範では五世以下の皇女子孫、現行皇室典範では三世以下の嫡男系嫡出の皇女子孫)

(参考) 旧皇族身位令第1条ないし第7条

   第一章 班位

第一条 皇族ノ班位ハ左ノ順序ニ依ル
  第一 皇后
  第二 太皇太后
  第三 皇太后
  第四 皇太子
  第五 皇太子妃
  第六 皇太孫
  第七 皇太孫妃
  第八 親王親王妃内親王王王妃女王

第二条 親王王ノ班位ハ皇位継承ノ順序ニ従フ内親王女王ノ班位亦之ニ準ス
2 前項ノ規定ニ依リ同順位ニ在ル者ハ男ヲ先ニシ女ヲ後ニス

第三条 親王妃王妃ノ班位ハ夫ニ次ク内親王女王ニシテ親王妃王妃タル者亦同シ

第四条 故皇太子ノ妃ノ班位ハ皇太子妃ニ次キ故皇太孫ノ妃ノ班位ハ皇太孫妃ニ次ク
2 親王王ノ寡妃ノ班位ハ旧ニ依ル

第五条 摂政タル親王内親王王女王ノ班位ハ皇太孫妃ニ次キ故皇太孫ノ妃アルトキハ之ニ次ク

第六条 皇太子皇太孫皇位継承ノ順序ヲ換ヘラレタルトキハ其ノ班位ハ皇太孫妃ニ次キ故皇太孫ノ妃アルトキハ之ニ次キ摂政タル親王内親王王女王アルトキハ之ニ次ク
2 親王王皇位継承ノ順序ヲ換ヘラレタルトキハ其ノ班位ハ旧ニ依ル

第七条 従来ノ宣下親王ハ其ノ宣下セラレタル順序ニ依リ王ノ上ニ列ス

 皇位継承順位とは、戦前においては、「天壌無窮の神勅によつて定まれる万世一系の天津日嗣の御位」(井原頼明『増補皇室事典』(冨山房、昭和13年)1頁)を継承する皇族の順位をいう(旧皇室典範1条ないし8条)。天皇の地位は大日本帝国憲法1条の「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」という条項によって制度化されたのではなく、天孫の瓊瓊杵尊が高天原から天降られる際に、天照大神から授かった『天壌無窮の神勅』によるものであって、三種の神器と相まって帝国憲法旧皇室典範の規定はその趣旨を確認したものにすぎないという立場であった。

(参考) 宝祚天壌無窮の神勅 (『日本書紀』巻二の一書)

豊葦原千五百秋之瑞穂国是吾子孫可王之地也宜爾皇孫就而治焉行矣宝祚之隆当与天壌無窮者矣
豊葦原(とよあしはら)の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の国は是(こ)れ吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり宜しく爾(いまし)皇孫(すめみま)就(ゆ)きて治(しら)せ。さきくませ。宝祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむことを、当に天壌(あめつち)と窮(きわま)りなかるべし。

 現在においては、「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(日本国憲法1条)たる天皇の地位を継承することができる皇族の順位をいう(現行皇室典範1条および2条)。

  1. 皇長子
  2. 皇長孫
  3. その他の皇長子の子孫
  4. 皇次子およびその子孫
  5. その他の皇子孫
  6. 皇兄弟およびその子孫
  7. 皇伯叔父およびその子孫
  8. 以上の皇族がないときは、それ以上で最近親の系統の皇族


現在の皇族

 以下に掲げるものは、平成18年9月12日現在の皇族方のお名前と正式な英訳名である。なお、わが国ではお名前をお呼びするのは畏れ多いので、基本的にお名前ではなく「宮号」を用いる。英訳もそれに準じている。

お名前 英訳 ご誕生 お印
天皇陛下 His Majesty the Emperor 昭和8年12月23日
皇后陛下 Her Majesty the Empress 昭和9年10月20日 白樺
皇太子(徳仁親王)殿下 His Imperial Highness the Crown Prince 昭和35年2月23日
皇太子妃殿下(雅子さま) Her Imperial Highness the Crown Princess 昭和38年12月9日 ハマナス
敬宮愛子内親王殿下 Her Imperial Highness Princess Aiko 平成13年12月1日 ゴヨウツツジ
秋篠宮(文仁親王)殿下 His Imperial Highness Prince Akishino 昭和40年11月30日
秋篠宮妃殿下(紀子さま) Her Imperial Highness Princess Akishino 昭和41年9月11日 檜扇菖蒲
秋篠宮眞子内親王殿下 Her Imperial Highness Princess Mako of Akishino 平成3年10月23日 木香茨
秋篠宮佳子内親王殿下 Her Imperial Highness Princess Kako of Akishino 平成6年12月29日 ゆうな
秋篠宮悠仁親王殿下 His Imperial Highness Prince Hisahito of Akishino 平成18年9月6日 高野槇
常陸宮(正仁親王)殿下 His Imperial Highness Prince Hitachi 昭和10年11月28日 黄心樹
常陸宮妃殿下(華子さま) Her Imperial Highness Princess Hitachi 昭和15年7月19日 石南花
三笠宮(崇仁親王)殿下 His Imperial Highness Prince Mikasa 大正4年12月2日 若杉
三笠宮妃殿下(百合子さま) Her Imperial Highness Princess Mikasa 大正12年6月4日
三笠宮寛仁親王殿下 His Imperial Highness Prince Tomohito of Mikasa 昭和21年1月5日
三笠宮寛仁親王妃殿下(信子さま) Her Imperial Highness Princess Tomohito of Mikasa 昭和30年4月9日 花桃
三笠宮彬子女王殿下 Her Imperial Highness Princess Akiko of Mikasa 昭和56年12月20日
三笠宮瑶子女王殿下 Her Imperial Highness Princess Yohko of Mikasa 昭和58年10月25日
桂宮(宜仁親王)殿下 His Imperial Highness Prince Katsura 昭和23年2月11日
高円宮妃殿下(久子さま) Her Imperial Highness Princess Takamado 昭和28年7月10日
高円宮承子女王殿下 Her Imperial Highness Princess Tsuguko of Takamado 昭和61年3月8日
高円宮典子女王殿下 Her Imperial Highness Princess Noriko of Takamado 昭和63年7月22日
高円宮絢子女王殿下 Her Imperial Highness Princess Ayako of Takamado 平成2年9月15日

 なお、文庫においては、皇族の表記について、「宮号」は名字ではありませんが、事実上そのように理解されており、形式的な正確さよりも分かりやすさを優先して、官報では「○○親王」のような表記であっても、「△△宮○○親王」のような書き方に統一しています。


皇位継承順位

 わが国において、過去に女子が皇位を継承された例(十代八帝)があるが、大日本帝国憲法2条は「皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス」と定め、旧皇室典範1条も「大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス」と規定して、皇位の継承は祖宗の皇統男系男子に限り、過去の女子の皇位継承はあくまで「権宜」の措置であると解して、これを一切否定した。

(参考) 大日本帝国憲法第1条および第2条

第一条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス

第二条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス

(参考) 旧皇室典範第1条ないし第8条

第一条 大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス

第二条 皇位ハ皇長子ニ伝フ

第三条 皇長子在ラサルトキハ皇長孫ニ伝フ皇長子及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇次子及其ノ子孫ニ伝フ以下皆之ニ例ス

第四条 皇子孫ノ皇位ヲ継承スルハ嫡出ヲ先ニス皇庶子孫ノ皇位ヲ継承スルハ皇嫡子孫皆在ラサルトキニ限ル

第五条 皇子孫皆在ラサルトキハ皇兄弟及其ノ子孫ニ伝フ

第六条 皇兄弟及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇伯叔父及其ノ子孫ニ伝フ

第七条 皇伯叔父及其ノ子孫皆在ラサルトキハ其ノ以上ニ於テ最近親ノ皇族ニ伝フ

第八条 皇兄弟以上ハ同等内ニ於テ嫡ヲ先ニシ庶ヲ後ニシ長ヲ先ニシ幼ヲ後ニス

(参考) 女子による皇位継承(いわゆる女帝)の例

 日本国憲法2条は、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定め、特に「男子」とは限定していないものの、これを受けた戦後の法律たる現行皇室典範(昭和22年法律第3号)1条においては、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」として、やはり(祖宗の)皇統男系男子に限っている。

(参考) 日本国憲法第1条および第2条

第一条 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

(参考) 皇室典範第1条および第2条

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
 一 皇長子
 二 皇長孫
 三 その他の皇長子の子孫
 四 皇次子及びその子孫
 五 その他の皇子孫
 六 皇兄弟及びその子孫
 七 皇伯叔父及びその子孫
2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
3 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。

 平成18年9月12日現在の皇位継承順位は以下のとおりである。

  1. 皇太子徳仁親王(昭和35年2月23日生、今上陛下第一皇男子)
  2. 秋篠宮文仁親王(昭和40年11月30日生、今上陛下第二皇男子)
  3. 秋篠宮悠仁親王(平成18年9月6日生、秋篠宮文仁親王第一男子)
  4. 常陸宮正仁親王(昭和10年11月28日生、昭和天皇第二皇男子)
  5. 三笠宮崇仁親王(大正4年12月2日生、大正天皇第四皇男子)
  6. 三笠宮寛仁親王(昭和21年1月5日生、三笠宮崇仁親王第一男子)
  7. 桂宮宜仁親王(昭和23年2月11日生、三笠宮崇仁親王第二男子)

 平成13年12月1日、皇太子妃殿下は愛子内親王(女のお子様)をご出産になった。上述の通り、皇位継承権は(祖宗の)皇統の男系の男子に限られているため、敬宮さまのご誕生は皇位継承順位に影響を与えない。平成18年9月6日、秋篠宮妃殿下は皇位継承順位第3位の悠仁親王をご出産になった。

皇子誕生式(ご懐妊からご命名まで)


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