文章を書く時、縦に書くか、横に書くか。手元の本を開いてみると、大体が縦書きだ。雑誌や新聞もそうだ。横書きは実用書で多い。実務的で数字や横文字を多く使うためか、会社の書類なども横書きだ。
最近、横書きが小説や文学のジャンルでも目立つという。携帯電話の専用サイトに書かれた物語を書籍化した、いわゆるケータイ小説だ。さらに「坊ちゃん」「斜陽」といった近代文学を横書きにした名作シリーズまで出版されている。メールなどで横書きに慣れている若者には違和感がないようだ。
しかし、横書きブームへの異論もある。書家の石川九楊さんは著書「縦に書け!」(祥伝社)で、漢字を中心にした東アジアと、アルファベットによる西洋との言葉の構造の「違い」を指摘する。
そして、縦に書くのは「重い」とし「その重さと格闘しながら書くからこそ、文章が確かな意味を持つ」と説く。一方、横に書くことは「気軽」だが「話し言葉と同じで、思考の深さや言葉の信用性に欠ける」とする。
確かに、手紙など改まった文章は縦書きだ。ちょっとメモしたり、人の話を書き取るのは横書きが多い。日ごろ何げなく使い分けているが、奥は深いといえる。
年賀状も縦書きと横書きとでは印象が違う。よく考えて今年は書くとしよう。