【第26回】 2008年10月14日
グローバル化先進国・韓国
韓国に学べ!韓流ブームから韓流システムに
上田 では、このような韓国から日本は何を学び取るべきなんでしょうか?
竹中 キーワードは、「韓流ブームから韓流システムに」です。日本と韓国との差は、やはり危機感の差。実際、「この先何が起きても、経済大国だから何とかしのげるだろう」と思っている日本人はまだまだ多いと思います。
もちろん、日本経済は大したものだとは思います。しかし、アジア通貨危機に直面した際、韓国人は「韓国経済は木の葉のようだ」と思い知りました。そのとき、多くの企業が倒産しましたが、結局力強く生き残ったのは国内外でグローバル展開している企業だった。そこで、彼らは腹の底から「グローバル化の重要性」を思い知ったんです。
英語教育で日本に大きく差をつける
「韓流システム」に学べ!
そして、このような韓国人のマインドを象徴したのが、前述した「留学ブーム」。小・中・高・大学を問わず、おカネを借りてでも子供をアメリカへ留学させる人が後を絶たちません。母親が留学先について行き、父親が韓国で単身生活をするというケースも珍しくないんです。
これが今、社会問題化していて、「留学しなくてもグローバルな人材が育つように国内の教育制度を改革しよう」という議論が起きています。そういう危機感は、インターネット普及時も同様でしたね。
だから、国内の「英語教育熱」には目を見張るものがあります。韓国の学校は10年も前から、小学3年生からの英語教育を義務付けています。中学生ともなれば、コミュニケーション能力を高めるための実践的なプログラムも導入されます。大学入試におけるリスニングも、15年も前から導入されているんですよ。
上田 それはスゴイですよね。それと比べれば、日本の英語教育は本当にまだまだですね。
竹中 でも、日本の名誉のために言っておくと、日本ではほとんどすべての大学生がTOEFLを受けるので、ごく限られた人しか試験を受けないモンゴルや北朝鮮とは、一概に比べられません。受ける人が多い国では、どうしても平均点が下がりますからね。
あと、興味深いのは、京畿にある英語村(イングリッシュ・ビレッジ)。私は初めてアメリカに留学したとき、とても生活に困った経験があります。いざ日用品を買おうとしても、店員になんて伝えたらよいかわからない。たとえば、「歯磨き」なんて単語は日本の教科書に出てきませんから。生活に根ざした英語は、現地で生活して初めて身につくものなんです。
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竹中平蔵
(慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)
1951年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行に入行。ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員、大阪大学助教授、慶應義塾大学教授などを経て、01年より小泉内閣で金融担当大臣、経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣を歴任。04年から06年まで参議院議員。
上田晋也
(タレント)
1970年生まれ。お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」メンバー。早稲田大学教育学部中退。91年に有田哲平とコンビ結成。レギュラー出演番組多数。
経済学者・竹中平蔵と、くりぃむしちゅーの上田晋也が、毎週楽しくわかりやすく日本の経済を解説。同名テレビ番組(BS朝日、朝日ニュースター)の一部を再構成してお届けします。