千葉県東金市の路上で9月、同市田間の看護師、成田多恵子さん(38)の次女幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)の遺体が見つかった事件で、県警東金署捜査本部は6日、同市東上宿(ひがしかみじゅく)、無職、勝木諒(りょう)容疑者(21)を死体遺棄容疑で逮捕した。「ぐったりした幸満ちゃんの遺体をプレハブ小屋前に置いた」と容疑を認めているという。幸満ちゃんの死亡についてはあいまいな供述をしており、捜査本部は死亡の経緯や動機を追及する。
調べでは、勝木容疑者は9月21日午前11時すぎから午後0時26分ごろ、自宅マンションから南に約100メートル離れた市道脇の側溝ふたの上に、幸満ちゃんの遺体を遺棄した疑い。自宅マンション駐車場からは幸満ちゃんの衣服と靴が入った二つのレジ袋が見つかった。
勝木容疑者は調べに対し、幸満ちゃんの死亡について「家の中に一緒にいたらぐったりしてしまった」と供述しているが、具体的に聴くと「分からない」と答えたり、黙り込んでしまうという。「衣類を袋に入れて捨てたのもぼくです」とも供述しているという。
捜査本部は、レジ袋から採取された指紋が勝木容疑者の指紋と一致▽自宅と遺棄現場が極めて近く、周辺で女性に声をかけている勝木容疑者らしき不審人物の目撃情報があった--などから、6日朝から任意同行して事情聴取するとともに、自宅を死体遺棄容疑で捜索した。
勝木容疑者は、事件当日の午前11時過ぎに近くの商業施設の防犯カメラの映像に映っていたほか、午前、午後とも現場周辺で目撃されていた。また、事件発生時間帯に、遺棄現場近くで、男が裸の女児を肩にかついでいたという目撃情報もあった。
捜査本部などによると、勝木容疑者は母親と2人暮らし。01年に東金市内の病院で、「精神発達遅滞」と診断された。知的障害者に交付される療育手帳では5段階のうち最も軽度な「B2」で、地元の養護学校高等部を卒業後の05年4月、隣の山武市にある寝具会社に就職した。会社によると、今年8月28日から無断欠勤し、事件前日の9月20日退職した。
幸満ちゃんの祖父で東金中央クリニック院長の岡本成通(しげみち)さん(71)によると、勝木容疑者は5年前と2年前に皮膚科で受診していたが、特にトラブルはなかったという。
幸満ちゃんの死因は司法解剖で断定できなかったが、口や鼻をふさがれたことによる窒息死とみられる。【寺田剛、中川聡子、斎川瞳】
毎日新聞 2008年12月6日 21時10分(最終更新 12月6日 22時51分)