県は5日、臨床研修指定病院の指導力向上を目指し、米国屈指の医療機関「クリーブランドクリニック」と協定を締結したと発表した。医学教育分野で定評がある同クリニックに研修医指導の責任者らが赴くなどして研修を受けるもので、地域医療で求められている総合診療医を育てる環境づくりにもつなげる。同クリニックと日本の自治体が協定を結ぶのは初めてといい、県関係者は医師の確保と県内定着に向けた弾みになると期待している。
 クリーブランドクリニックはオハイオ州クリーブランドを本拠地とする非営利医療機関。医師・医学研究者約1800人、看護師ら職員約2万3千人を抱え、全米上位の評価を受けている。臨床研修プログラムは約60に及ぶという。
 海外での研修を望む医師も多数いることを踏まえ、医師を確保して県内に定着させる一方策として同クリニックとの協定締結に着眼。2006年度から準備を進め、三村申吾知事が今月1日に協定書に署名した。
 指導医が研修を受けることで、同クリニックの医学教育技術を、県内の臨床研修指定病院に取り入れていくことになる。青森市の県立中央病院などの医師二人が渡米し、今月8日から数日間の研修を受ける。また、09年春には同クリニックの専任教員が来青し、県内の臨床研修指定病院の指導医らを指導する。研修は短期集中課程となる見通し。
 県医療薬務課の石岡博文課長は「若い医師がアメリカでの医学交流を非常に望んでおり県として(交流の)ツールを持つことが今後の医師の確保と定着につながる」と協定締結の意義を強調、さらに「国内では総合診療医を育てるプログラムが確立されていない。まずアメリカで学び、本県に適したものをつくりたい」と語った。