福岡県筑前町は3日、子どもたちのさまざまな権利を保障する「町子どもの権利条例案」を発表した。8日開会の12月定例議会に提出し、来年4月施行を目指す。2006年10月、同町の中学2年森啓祐君=当時(13)=が自殺した事件を踏まえ、地域や家庭、学校が連携していじめ防止に努めることを明文化したほか、町や学校などを指導する第三者機関の設置を盛り込んだ。
森君の自殺を受け、町は4月「こども未来センター」を開設し、専門員がいじめ問題や児童虐待などの相談の受け付けを始めた。条例制定は、子どもの権利を明確にすることで「町や地域の役割を再認識し、町を挙げて再発防止に取り組む」(町教委)のが目的。
条例案は「子どもの大切な権利」として(1)安心して生きる(2)自分らしく生きる(3)自分を守り、守られる‐などと明記。地域や家庭の取り組む対策として、いじめ相談の環境整備や子どもの居場所づくりの推進などを挙げた。必要に応じていじめ対策の是正要請や勧告ができる第三者による救済機関(弁護士らで構成)も新設するとしている。
手柴豊次町長は「(自殺という)悲しい出来事を繰り返さず、子どもたちの健やかな成長を図りたい」と話した。同様の条例は同県志免町が07年度から施行している。
=2008/12/04付 西日本新聞朝刊=