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ユーロ圏の不安材料

2008年12月6日

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 グローバルな金融危機の中でユーロ圏はどうなっているのか。景気の状況を見ると、第3四半期のGDPは前期比でマイナスとなり、来年のGDPもマイナス予想がほとんどである。欧州中央銀行(ECB)は政策金利を大幅に引き下げており、今後も利下げは続くと予想され景気後退が鮮明である。

 一方、信用収縮や貸出金のスプレッドの拡大傾向の中で、ユーロ圏では貸出金の残高はまだ大きく減少していないようだ。また欧州の株価も大きく下落しているが、個人金融資産の株式保有率は、ここ10年で最も高かった2000年当時の35%から、昨年から今年にかけては25%程度に下がっており、個人保有株式資産の劣化も深刻化していない。直近の景気対策は、景気の長期停滞を回避するため、いち早く業績不振の金融機関に対する資本注入を行い、大幅な財政出動や付加価値税の引き下げなどの緊急経済対策を発表している。

 しかし、ユーロ圏には不安材料がある。ユーロ圏には統一した財政政策がなく、金融機関を監督する中央集権的な機関もない。圏内の国々がそれぞれの判断で財政政策を決めており、ECBも圏内の物価安定を目的とした金融政策が中心である。

 つまり圏内で一体となった金融・財政政策や規制に対する行動がとれない。ECBも金融機関に対する最終的な貸手としての能力が発揮できないため、今回のような危機を乗り切れないリスクが懸念される。そのことが今まで成長通貨として評価されたユーロが反転し、ユーロ高からユーロ安となった原因だろう。

 これは通貨統合したユーロ圏の宿命であり、この危機的状態を脱出するためには一層のユーロ圏の結束が必要だろう。(QJ)

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