あって当たり前だが、守り続けたり高めたりするにはたゆまぬ努力が必要。さて何か。答えは生まれながらに持っている人間の権利、人権だ。
六十年前の十二月十日、国連で世界人権宣言が採択された。日本では四日から十日の「人権デー」までを人権週間として、毎年啓発活動が繰り広げられている。節目の年に、人権宣言をきちんと読み返してみた。
宣言は、前文と三十条からなる。アムネスティ・インターナショナル日本支部編の「はじめてよむ世界人権宣言」(小学館)を参考にした。前文は「人間社会のすべての構成員が生まれながらにもっている尊厳と、平等で譲ることのできない権利を認めることは、世界における自由、正義そして平和の基礎であるので」と書き出す。
第一条「自由・平等」、第二条「差別の禁止」などが続く。第二八条には「人は皆、この宣言に掲げる権利と自由が完全に実現できる、社会的および国際的な秩序を求めることができる」とある。
文言は格調高く、重い。同書で女優の黒柳徹子さんは権利は有するだけでは十分でなく、宣言に明記された権利を実現するために、みんなが力を合わせ人類の知恵を生かさなければならないと強調している。
このところテロや無差別殺人など暗い出来事が相次ぐ。宣言をかみしめる。