国外居住を理由に被爆者援護の枠外に置かれ、精神的苦痛を受けたとして、韓国の被爆者と遺族計388人が5日、国に総額約4億6600万円の賠償を求めて長崎、広島、大阪の3地裁に提訴した。
国が8月、日本出国に伴い被爆者健康管理手当を受給できなくなった在外被爆者を対象に、裁判所の事実認定を条件として1人120万円の慰謝料などの支払いを決めたことを受けた措置。
今後も提訴を続け、10月に広島地裁に提訴済みの米国、ブラジルの被爆者、遺族計163人を含め原告総数は2000人を超える見通し。
今回、長崎地裁に提訴したのは、釜山市や慶尚南道に住む43‐94歳の韓国人被爆者や遺族130人。11月に被爆者健康手帳交付などを求めた訴訟で、長崎県に勝訴した鄭南寿(チョンナムス)さん(88)も含まれている。
訴状によると、出国した被爆者は健康管理手当の受給権を失うとした旧厚生省局長通達(402号通達)により、通達が2003年に廃止されるまで原告らは手当を受けられず、不安を抱えながらの生活を余儀なくされ、長期間、精神的苦痛を受けたとしている。
昨年11月の最高裁判決は通達の違法性を認め、国家賠償を命じた。
=2008/12/06付 西日本新聞朝刊=