大阪簡裁に向かう原告(前列右)と弁護団ら=5日午後2時、大阪市北区、溝脇正撮影
保証会社から届いた「明渡予告書」と「明渡決定通知書」=5日午後、大阪市北区、溝脇正撮影
賃貸住宅の家賃を滞納した際に違法な手段で退去を迫られたとして、大阪、兵庫両府県の入居者4人が5日、家賃保証会社や家主らに慰謝料など1人あたり約110万〜約140万円を求める訴訟を大阪簡裁に起こした。代理人の弁護士らは「低所得者を狙った『追い出し屋』の営業実態の違法性を追及したい」としている。
支援団体によると、「追い出し屋」と呼ばれる業者の大半は、借り主の連帯保証を請け負う家賃保証会社に多いとされるが、家主や管理会社が直接、退去を迫る例もあるという。東京では入居者らが10月に不動産会社を相手に集団訴訟を起こし、福岡では司法書士らが11月末に電話相談会を開くなど、被害救済の動きが活発になっている。
大阪簡裁に訴えたのは、いずれも派遣労働者の大阪府枚方市の男性(22)と大阪府柏原市の男性(28)▽大阪市城東区の男性(37)▽兵庫県宝塚市の飲食店アルバイト女性(27)。
被告は、家賃保証会社の日本賃貸保証(東京都)▽日本セーフティー(大阪市)▽ソフトニーズ(同)、不動産賃貸会社の木村産業(同)、不動産管理会社(和歌山市)と家主1人。
訴状によると、原告らが入居した賃貸住宅は家賃2万6千〜約10万円。今年に入り、収入が途絶えるなどして家賃を滞納した。その後、被告会社から、玄関の鍵を換えられたり、年利換算で651%の損害金を支払わされたりしたなどと主張。法的手続きを無視して、実力行使で退去を迫った行為は「居住権を侵害し、公序良俗に反する」と訴えている。一方、不動産管理会社と家主については「保証会社に業務を依頼した」とし、共同不法行為に問えるとしている。
被告会社の木村産業は「コメントは出さない」。ほかの4社は「訴状を見ておらず、詳細が分からないのでコメントできない」としている。(室矢英樹、千葉雄高)