ハンセン病差別問題をテーマにした講演会が三日、島根県津和野町の山村開発センターであった。国立療養所菊池恵楓園(けいふうえん)(熊本県)前自治会長の太田明さん(65)は、五年前のホテル宿泊拒否問題から差別の実態を訴えた。
人権週間(四〜十日)を機会に、町が企画した。熊本県内のホテルが恵楓園入所者の宿泊を拒否したのは二〇〇三年十一月。元患者を中傷する電話や手紙が相次ぎ「薬で完治できるようになった今でも不治の病だと思われていると実感した」と、啓発活動に立ち上がった経緯を述べた。
一九九六年まで続いたらい予防法による強制隔離政策については「国民が正しい知識を学ぶ機会を奪い、後遺症を恐れる気持ちだけを増幅させた」と指摘した。
「他人をさげすむ心は自分も含めて誰にもある。事実を知り、学ぶ努力が国民一人一人に求められている」と呼び掛け、会場を埋めた町民約六十人から大きな拍手を受けた。(岡本圭紀)
【写真説明】療養所の生活や差別解消への思いを語る太田さん
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