大病院と診療所の総合医をテーマにヒアリング―厚労省研究班
「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班」(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院長)の第5回班会議が12月5日、東京都内で開かれ、日本総合診療医学会など統合される予定の3学会の代表からヒアリングを行った。日本家庭医療学会の山田隆司代表理事と日本プライマリ・ケア学会の前沢政次会長は「地域診療所の総合医のあり方」、日本総合診療医学会の小泉俊三運営委員長は「大規模病院の総合医のあり方」について、それぞれ私見を述べた。
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山田氏は、「患者との付き合いの長さ、患者への理解の深さによって、ケアの質が高まることを認識することが大切だ」と強調。一次医療で求められる要素として、「いつでも、誰でも、何でも相談に乗る。必要があれば、適切な専門医を紹介することが重要」と述べた。
また、「日本版家庭医」を実現するには、▽常に地域のニーズに目を向ける▽地域開業医を指導医として活用する▽「家庭医療」の概念の普及に努める▽学会、組織など家庭医療を取り巻く力を結集する―などが必要だとした。
前沢氏は、医学部新卒者が臨床研修を2年受けた後、総合医研修を3年受けるなどとする新認定制度の私案を発表し=図参照=、「専門(分野)を持ちながら総合医を育て、日本のプライマリー・ケアの質を高めていきたい」と述べた。
小泉氏は総合診療に期待することとして、▽外来診療で幅広く日常病に対応できる▽地域密着型病院で急性期入院診療を担える▽地域プライマリー・ケアの質の向上に寄与できる▽広く健康問題についての相談相手になれる―を挙げた。一方、問題点としては、▽患者の専門医志向▽患者の検査志向▽情報の価値を認めない文化―を挙げた。
3学会の統合については、「さまざまな診療の場にいるジェネラリストが一堂に会し、個別の問題点を共有できるソサエティーが望ましい」との見解を示した。
ヒアリング終了後、川越厚委員(ホームケアクリニック川越院長)は、「在宅医療の中でも、がん末期の専門医をどう育てていくか。末期がんは地域をさまよっている。患者は地域の専門家が受け止めるべきではないか」と意見を述べた。また、「在宅の現場から乖離(かいり)した形の、病院とPCU主導の教育は適切ではない。現段階では、専門医を育てる専門的な地域医療機関が存在しない」と問題点を指摘。その上で、「地域に、在宅緩和ケアの実践や教育を行う中心的な診療所制度を創設するのはどうか」と提案した。
また、委員からは「全員がスーパーローテートするシステムは見直すべきではないか」「(総合病院などは)診療科の名前が臓器別に分類される傾向にあるが、それ(専門分野の細分化)に相反する3学会の合併時は、イメージがわきやすい名前を付けてほしい」などの意見が上がった。
研究班は来年1月中旬までに、非公開のワークショップを開き、班としての見解をまとめる予定。
更新:2008/12/05 20:29 キャリアブレイン
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