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【疑惑の濁流】「日本人工作員だと思った」 拉致? 別人? 男性はなぜ平壌に…亡命工作員証言(上) (1/4ページ)
このニュースのトピックス:疑惑の濁流
「この人を平壌で見た…」。1976(昭和51)年9月に北朝鮮から韓国に亡命した朝鮮労働党連絡部の元幹部工作員がソウルで、拉致被害者の支援組織「救う会」の西岡力会長代行と面会し、新たな証言をした。当時、平壌にいたと指摘されたのは兵庫県高砂市の萩本喜彦さん=失跡当時(35)=だ。北朝鮮に拉致された可能性を排除できない「特定失踪者」のリストにも含まれている。目撃の時期も行方不明になった約4カ月後と近接している。男性はなぜ平壌にいたのか。新たな“拉致疑惑”なのか…。
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《西岡氏に証言したのは、金東赫(キム・ドンヒョク、仮名)氏。亡命の詳しい経緯などについては後に詳述するが、その亡命を聞いた故金日成主席がショックを受けたとされるほどの大物工作員だという。韓国当局などに数々の情報を提供してきたが、素顔を公にして証言するのは、今回が初めてだ。》
9月8日。韓国・ソウル市内のホテルの一室。
西岡氏は向かい合った金氏に、拉致被害者を調べている「特定失踪者問題調査会」(荒木和博代表)が作製した失踪者283人の顔写真が並ぶポスターを提示した。事前に、「金氏が平壌で拉致被害者の可能性がある日本人を目撃していたらしい」との情報を得ていた西岡氏が質問を始めた。
「このポスターは日本から拉致された可能性がある人たちのポスターです。ここにもし、あなたが見た日本人の顔が出ているならチェックしてください」
ポスターの顔をひとり一人見ていった金氏の目が1枚の写真のところで止まった。一呼吸置いて顔をあげた金氏は、写真を指さしながら証言した。
「この人を見ました」
その写真に写っていたのが萩本さんだった。