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群大付属病院:小児科医引き揚げ 医師確保へ支援要望 館林市長、県に /群馬

 ◇県に5万9000人署名添え

 群馬大医学部付属病院から常勤小児科医の引き揚げを打診された館林厚生病院(館林市)の関係者が4日、県庁と群馬大を訪れ、小児科医の確保を要望した。要望には、市民の7割を超える5万8886人の署名が添えられ、地元の危機感の強さを物語った。

 県庁には安楽岡一雄・館林市長のほか、邑楽郡5町の町長、住民代表の館林市区長協議会長、病院長ら医療関係者が訪問し大澤正明知事と面談、「館林厚生病院は住民の命を守る最後のとりで」などと、小児科医確保への支援を求めた。大澤知事は「緊急の問題なので、全庁挙げて議論し県民が安心して暮らせる体制になるよう努力する」と応じた。

 群馬大では、石川治病院長、谷本雅男副学長らが対応した。安楽岡市長らが同様の要望をしたのに対し、病院側は医師不足の現状などを説明して理解を求める一方、付属病院の小児科と改めて相談すると答えたという。【塩崎崇】

 ◇研修医不足が原因 女性医の環境整備も--群馬大付属病院長

 群馬大医学部付属病院の石川院長は安楽岡市長らとの面談後、取材に応じ、大学病院自体が十分な医師数を確保できない現状を説明した。

 石川院長によると、04年度に卒後臨床研修制度が始まった後、06~08年度に同病院に戻った研修医は、病院全体で192人で、導入前の01~03年度の285人から大幅に減った。内訳をみると、小児科が25人から13人に、整形外科が22人から11人になっている。

 また、女性医師の割合が増え続けており、妊娠・出産に伴う休・離職も医師不足に拍車をかける。小児科は他の診療科より女性の割合が高いという。同病院では、子育て支援のため柔軟な勤務時間を導入、休職からの復帰プログラムを活用しているが、根本的解決は「医師全体の数を増やす以外にない」という。

 私立病院との待遇の格差も影響する。群大付属病院の研修医の1年目の手取り年収は360万円程度、私立では1000万円を超えるケースもあり、石川院長は「若い医師を確保するために給与に制限を設けるべきだ」と主張する。

 群大付属病院の勤務・派遣医のうち、今年度末で離・退職する小児科医は13人。理由は開業4人▽妊娠出産3人▽夫の留学への付き添い2人▽定年退職、他大の講師、昇進、病気各1人--だ。

 この結果、派遣先からの引き揚げが検討されている人数は、▽館林厚生病院2人(現在の派遣数2人)▽公立富岡総合病院1人(同3人)▽県立小児医療センター1人(同不明)▽長野県の佐久総合病院1~2人(同4人)という。【塩崎崇】

毎日新聞 2008年12月5日 地方版

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