現在位置:
  1. asahi.com
  2. スポーツ
  3. レーシング
  4. 記事

ホンダF1撤退発表 社長「市場悪化、想像超えている」

2008年12月5日18時52分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真F1世界選手権の日本グランプリ決勝レースで走るホンダのマシン=10月12日、富士スピードウェイ、高山顕治撮影

 ホンダは5日、自動車レースのF1から08年限りで撤退すると発表した。チームを売却する方針を固め、売却先が見つからなければチームを解散する見通しで、「完全撤退」としている。金融危機による世界的な自動車の販売不振が経営を直撃しており、チームの維持費や巨額の開発費の負担は難しいと判断した。

 福井威夫社長は5日午後、東京・南青山の本社で記者会見。「サブプライム危機、信用危機、実体経済の急速な後退でビジネス環境が悪化した。効率的な資源配分が必要との考えから撤退を決めた。北米の市場は11月に入って加速度的に減少しており、想像を超えている」と説明。「ファンにもF1界にもチームにも申し訳ない」と陳謝した。

 09年は傘下の鈴鹿サーキット(三重県)でF1レース開催が決まっており、福井氏は「来年の鈴鹿は予定通り開催する」と述べた。また、エンジンだけを他社に供給する可能性については「考えていない。中途半端な活動はしたくない」と語った。将来の復帰の可能性については「白紙だ」と述べるにとどまった。

 時速300キロを超える速度で走行するF1は自動車レースの最高峰で、高性能エンジンの開発などでメーカーが技術を競い合う場とされてきた。ホンダは64年、創業者本田宗一郎氏の強い希望でF1に参入。途中、撤退した期間もあったが、「F1はホンダのチャレンジングスピリットの源泉」(福井社長)とし、技術とブランド力の象徴と位置づけてきた。

 しかし、09年3月期の連結業績予想の下方修正に追い込まれ、9年ぶりの減収減益になる見通しを示すなど、経営環境は厳しい。来年1月末に国内の期間従業員約4300人の約17%に当たる760人を削減する予定でもあり、年に数百億円の費用がかかるとされるF1は重荷だと判断した。ホンダは10月以降の国内外の新車販売急減を受け、09年の生産計画や投資計画の見直し作業に着手している。

 日本でのF1レースは、ホンダが傘下の鈴鹿サーキットで87年から06年まで20年間連続で開催。トヨタ自動車のF1参入を受け、07、08年はトヨタ系の富士スピードウェイ(静岡県)で開かれ、09年から交互開催が決まっている。来年の鈴鹿開催に向け、ホンダは約200億円をかけてサーキットの改装を進めていた。開催は継続する方針だ。

 金融・経済危機はモータースポーツ界も直撃している。トヨタは「現時点ではF1からの撤退は考えていない」としているが、渡辺捷昭社長は10月に「もう少しお金のかからないF1の検討を」と発言している。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内