不気味な人の顔が写っている写真、見知らぬ手や足が写っている写真、頭が消えている写真、謎の球体「オーブ」が写っている写真、その他、常識ではありえない写り方をしている写真は、すべて心霊写真である。
その多くは、地縛霊や憑依霊、浮遊霊などが写ったものだ。こういった心霊写真を所持している者や、写真に異常が見られた者には災いがふりかかることが多い。
そのため心霊写真を撮ってしまった場合には、写真に写っている霊の善し悪しを見分けることができ、なおかつニセモノと本物の見分けをつけることができる霊能者や宗教施設などに相談し、お祓いをしてもらわなければならない。
これをしないで放っておくと祟りがあるので、注意が必要である。
【写真引用元】
『心霊写真』 小池壮彦 (宝島社新書) P.24
このページでは、いわゆる「心霊写真」について、霊以外の原因があるのではないか探り、その解明を目指していきたいと思う。
扱う心霊写真の多くは、自称霊能者が「霊によるもの」と鑑定したものだが、中には当サイトへ鑑定を依頼してくださった読者の方からの写真も含まれている。
また当ページの内容は、mixi内にて私が管理人をしているコミュニティ「『心霊写真』解明コミュ」の内容をまとめたものである。このコミュニティはmixiに入会している方なら誰でも閲覧できるように設定してあるが、入会していない方は残念ながら見ることができない。
そこで、心霊写真に関するリクエストは多数いただいていること、また心霊写真を解明しようと試みているところは、海外のサイトも含め、非常に少ないことなども考慮した結果、より多くの方たちに見ていただけるようにするために、コミュニティの内容をまとめたものを公開することにした。
紹介にあたっては、分かりやすいように各特徴別に振り分けてある。
【※注】 写真はクリックすると拡大できる。
左は、『世にも怪奇な心霊写真集』 宜保愛子 (大陸書房)のP147に掲載されている写真。
【相談者による説明】 祖父の法要のときに、お寺の前で撮影。右端の女性の左腕が消えているので鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 宜保愛子によれば、仏様がこの女性の健康を案じているそうで、その仏様とは、この女性のお祖母さんにあたる方なんだとか。
【解明】 手や腕が消えているといわれる心霊写真の多くは、撮影時の自然な行為として単に体の後ろに手や腕を回した結果、消えているように見えるだけである。(袖の部分は体の後ろに隠れないため、あたかも肘から先が消えているように見える)。右は再現写真。
上は、『超恐怖!心霊写真集』黒田みのる【監】(勁文社)のP236、237に掲載されている写真。
【相談者による説明】 旦那さんが社員旅行に行った際に撮った記念写真で、撮影日は平成3年4月22日。矢印で示した人たちの手が消えているため、鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 黒田みのるの鑑定によれば、手が消えている人は「霊の波長」や「霊波動」とやらの悪い影響を受けてしまったために、手が全く写らないという。
【解明】 この写真も、単に手を後ろに回しているだけである。
左は、『世にも怪奇な心霊写真集』 宜保愛子 (大陸書房)のP151に掲載されている写真。
【相談者による説明】 左腕が消えているので不安になって鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 宜保愛子の鑑定では、消えた腕のそばに浮遊霊の存在を感じるそうで、その霊は空襲で亡くなった少女とのこと。
【解明】 これも手を後ろに回してるだけである。右は再現写真。
左は、『恐怖写真館 霊の世界をさぐる』大窪南【鑑定】(朝日ソノラマ)のP177と表紙に掲載されている写真。
【相談者による説明】 アルバムを整理しているときに出てきたもので、かなり前に撮影した写真とのこと。片足が消えているので不気味に思い、鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 これは典型的な背後霊の警告で、この写真が撮られた時点での近い将来、大病などの災厄が降りかかってくる可能性を警告したものだという。
【解明】 この写真を見ると、女性の左足が消えて、右足だけが写っているように見える(私も最初そう思った)が、実はこの写真に写っているのは左足。(両足を重ねるようにしているため、右足は左足の後ろに隠れてしまっている) ちょうど少し気取った感じで、いわゆる「モデル立ち」をしているところを撮った可能性が高い。
ちなみにこの女性は、正面から見て右に不自然に傾いているので、写真に入ってる横縞、ならびに足の横に見える白い杭のようなものをもとに傾きを補正すると、写真は反時計回りに約3.5度回転させれば違和感なく見ることができる。
今回引用した本には、意図的に傾けている写真が他にも複数あったので、この写真もより不気味に見えるように故意に傾けられた可能性がある。
右の画像は、コミュニティ参加者の方が描いてくださったイラスト。足をどのようにしているかが大変わかりやすい。
左は、『恐怖写真館 霊の世界をさぐる』大窪 南 (朝日ソノラマ)のP157に掲載されている写真。
【相談者による説明】 今から20年以上前に近くの水源地で撮影。上段の右から3番目の子(相談者)の下半身が写ってないので、不気味に思い鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 下半身が消えているのは先祖霊からの警告。
【解明】 右足(&腰)は相談者の右の子の後ろに隠れ(というか足の半分は見えている)、左足は前の子の後ろに隠れているだけである。右の画像は、その隠れている部分を描いてみたもの。
上は、『真・恐怖の心霊写真』結城瞳(二見書房)のP36、37に掲載されている写真。
【相談者による説明】 柵付近で立ち止まっていた馬を撮影したら、右の後ろ足が写ってなかったため鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 これは生霊の仕業。
【解明】 よく見ると尾が結構ブレているので、撮影した瞬間に右の後ろ足を蹴り上げていた可能性が高い。動きを捉えきれず足が写らなかったのだろう。
左は、『心霊写真の神秘』中岡俊哉(永岡書店)のP37、38(&表紙にはカラーで)掲載されている写真。(真ん中は問題部分の拡大画像)
【相談者による説明】 右に写っている子の下半身が消えているので鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 ダウジング法&霊気法で鑑定したところ、さほど強い霊気は感じなかったことから、恐らく「エクトプラズムの消えた不思議な写り方をした心霊写真」ということらしい。
【解明】 これは男の子の下半身が消えてるのではなくて、誰かに「抱っこ」してもらってるところを写したものだろう。抱っこしている人物は、前に並んでいる女の子の中でも一番右の子の陰に隠れてしまっているのだと思うが、よく見ると、頭と手の一部は見えている。右の画像はコミュニティ参加者の方が描いてくださったイラスト。
左は、名古屋テレビの番組「夜だMONDE」で取り上げられた心霊写真。
この番組では、視聴者から送られてきた心霊写真を霊能者に見せて鑑定してもらうのではなく、プロの写真家が解明にあたる「心霊写真の謎を解明」というコーナーがあった。
上の頭が消えてしまった男性が写っている写真は、そのコーナーで取り上げられたもの。霊能者なら、「地縛霊の祟り」とか「先祖霊からの警告」だのと言い出しそうなインパクトのある心霊写真だ。
【解明】 この心霊写真の解明をしたのは、プロ写真家の楓大介氏。これまでに数多くの心霊写真を解明してきた楓氏は、男性の顔が消えてしまったのは「顔のブレが背景の白い空の光に消されたのが原因」であることを突き止めた。
右から二番目の画像は、撮影時に体がブレたと思われる証拠(矢印で示した箇所がブレている)。右の写真は、同じ場所で楓氏が撮影した再現写真。
左は、『真・恐怖の心霊写真』結城瞳(二見書房)のP20、21に掲載されている写真。
【相談者による説明】 秋頃、相談者の父親が動物公園のメリーゴーランドで遊んでいる孫を写したものだという。使用したカメラはポケットカメラ。
【霊能力者の鑑定】 これは心霊写真ではなく、不思議写真。磁場が狂っているようなので長居をしないほうがいいらしい。
【解明】 右の子の顔は単に傾けているだけ。左の子の頭は確かに消えているように見えるが、色調を変えてみるとうっすらと頭の輪郭らしきものが見える。
実際の頭部は赤丸で囲ってある箇所よりも右にあり、少女は自分の右側の下(画面奥の下)を見ているところを撮影されたのだと思われる。(何かを落としたのかもしれない)
頭部が消えているように見えるのは、襟についている白い線によって頭部が実際よりも前方にあるように錯覚してしまうことと、背景と頭部の色が似た色だったために見分けがつかなくなってしまっていることが原因だと考えられる。
右から2番目の画像は、うっすらと見える頭部の輪郭をなぞってみたもの。右の写真は、少女の姿勢をわかりやすく再現してみたもの。
左は、『稲川淳二の秘蔵心霊写真』(リイド文庫)のP27に掲載されている写真。
【相談者による説明】 なし。
【霊能力者の鑑定】 稲川淳二によれば、手が伸びて写ったのは浮遊霊のイタズラなんだとか。
【解明】 この写真は「現像・プリント時のミス」か、もしくは単にゴム手袋をはめているだけの可能性がある。
現像・プリント時のミスであれば、プリント時に印刷紙の一部に「ゆがみ」や「たるみ」をつけて像を焼き付けると、体の一部が伸びた写真が撮れてしまうことがある。(真ん中の写真は、『特命リサーチ超常現象編』(日本テレビ放送網)の101ページに掲載されている再現写真)
ちなみに「スリットカメラ」という特殊なカメラを使うと、身体の一部が伸びた写真(右の写真)を撮るのはもっと簡単らしいが、このカメラは特殊で一般の人は普通持ってないものなので、可能性としては除外した。
左は『超恐怖!心霊写真集』黒田みのる(勁文社)のP128に掲載されている写真。
【相談者による説明】 家族旅行に行った際に、相談者の兄と父が肩を組んで撮った写真。手が一本多く写っているので、とても怖く感じ、鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 黒田みのるによれば、「これは親子に関係のある血のつながりのある憑依霊です。手が一本多いというよりも、この手は顔の形をしています。これは霊が赤ん坊の姿に擬似したものです。霊の姿が体の右側に出たということは、恨みの象徴です」 と鑑定している。
【解明】 矢印で示してある一見すると二つに見える手は、両方とも右に写っている父親の手。光の当たり方により、二つに分かれているように見える。右の画像は、コミュニティ参加者の方が撮影してくださった分かりやすい再現写真。
左は、『恐怖写真館』大窪南(朝日ソノラマ)のP157に掲載されている写真。
【相談者による説明】 10月8日に京都の清水寺で写したもの。4人の真ん中に不気味な手が写っていて、どう処分したらいいのかわからず鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 大窪氏によれば、中央に写っている手よりも、右から2番目の女性の左手の指が6本に写っていることのほうが意味があるという。なんでも、背後霊が健康面の警告をしているらしい。
【解明】 大窪氏が指摘している指の数については、そもそも6本になど見えないのだが、どうしても見えるというなら、それは影によって起きる錯覚である。(小指の付け根の外側あたり)
次に相談者が不気味がっている中央の手については、左から2番目の女性の手だろう。おそらく写真に撮られる際、髪型を直そうと手を伸ばそうとしたところを撮られたのだと思われる。(手の色が暗いのは、光源である太陽が左上にあるので、単に頭の影になってしまっていることが原因)
右の画像は、コミュニティ参加者の方が描いてくださった分かりやすいイラスト。
左は、『超恐怖!心霊写真集』黒田みのる(勁文社)のP12に掲載されている写真。
【相談者による説明】 高校2年の時に学校の旅行で長野県の妻籠の方へ行ったときに撮ったもの。右から3番目の女の子(相談者)の左肩の所に変なものが写っているので鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 この写真に写っているのは「水子の霊の幽体が育ったもの」。
【解明】 これは、右から2番目の女の子の握りこぶし。体を支えるために隣の子の肩に手をかけたのだと思われる。左の写真以外の三つの画像は、コミュニティ参加者の方が撮ってくださったわかりやすい再現写真と、わかりやすいイラスト。(一番右は上から見た図)
上は、『真・恐怖の心霊写真』結城瞳(二見書房)のP12に掲載されている写真。
【相談者による説明】 誰のものかわからない足が写ってるとのこと。
【霊能力者の鑑定】 以前この学校にいた生徒の足が写ったのだとか。
【解明】 本では「一見すると違和感がないように思える」などと書いてあるが、一見どころかよく見ても違和感など全くない。 足の主は、単に女の子たちの後ろに隠れてしまっただけだろう。
上は現存する心霊写真の中では日本最古のものだとされている心霊写真。
今回写真を引用させていただいた小池壮彦氏の著書『心霊写真』(宝島社新書)によれば、この写真を撮影したのは三田弥一という横浜の写真師。撮影時期は明治12年。被写体となったのは、横浜の保土ヶ谷で「天徳院」という真言宗の寺の住職を務めていた小山天領という人物。
この心霊写真に関しては、主に二つの伝説が伝わっている。
ひとつは、次のようなもの。
・・・質屋の娘が住職の妻となったが、夫婦仲はうまくいかなかった。その上、妻が30歳前後になったころ病気がちで寝込むようになり、何かと物入りになった。 住職は看病に嫌気がさして、ついには一杯の水も与えずに、病人をほったらかしに。
痩せ衰えた妻は、「覚えていろ、いまにとりついてやる」と言い残して死亡。
その後、住職は母親からの手紙をきっかけに、横浜の写真館へと赴き法衣姿を撮影してもらうことになった。
しかし出来上がった写真を見てみると、そこには死んだはずの妻の姿が!
驚いた住職は、そのまま悶死してしまった・・・という話。
もうひとつの伝説は次のようなもの。
・・・住職はもともと紀州の武士で、19歳のとき、妾にしていた「お初」という女性をあやまって殺し、菩提を弔うために仏門に入った。 やがて天徳院の住職試補となったが、たまたま三田弥一に撮ってもらった写真に、死んだはずのお初の姿が!
供養もむなしく亡霊につきまとわれていると知った住職はショックを受け、悶死した・・・という話。
二つの話がまったく食い違っているところが興味深いが、真相は、小池壮彦氏の調査によれば随分と違うもののようである。
明治12年1月14日付けの『仮名読新聞』には、この写真にまつわる話が載っており、それによれば、写真に写っていた女性は住職の妻でもなければ昔に殺した妾でもなく、たまたま住職が供養した女性だったという。
ちなみにこの写真自体は心霊写真でもなんでもなく、単なる二重写しの可能性が高いとのこと。 三田弥一は、たまたま死亡した女性を生前撮っていたことがあり、それを利用してこの心霊写真をデッチ上げた可能性が高いという。
なんでも客寄せの道具としてこの写真をフルに活用していたらしく、写真館の店頭に飾っていたのだとか。 そのうえ「あの写真を売ってほしい」という客が現れたので、高値をつけて商品化したところ、10日で300枚も売れたという。
左は、『恐怖写真館 霊の世界をさぐる』大窪南(朝日ソノラマ)のP159に掲載されている写真。
【相談者による説明】 神奈川県の大山へ社会科見学に行った帰りに、バスの中で写したもの。いちばん右端の女の子の横に笑った女の子の顔が写っているが、右端の女の子は窓際にいたので、笑った女の子などは絶対に写るはずはなく、不気味に思ったので鑑定を依頼。
【霊能力者の鑑定】 写っているのは迷い霊のひとつで、おそらく、まだ死後日も浅く、自分が死んだことを認めたくないという状態にあるのだとか。
【解明】 女の子の後ろ(頭上)に写っているのは、物置用の棚である(赤丸で囲ってあるのはエアコンの吹き出し口)。これは通常、座席二つ分のスペースがあるものなので、女の子一人分のスペースしかないということはありえない。
つまり、矢印で示した女の子は絶対写るはずがない場所にいるのでなく、人がいてもおかしくないだけのスペースは十分ある場所にいたということである。
幽霊だとされてしまった女の子は、後ろから写ろうとしたが物置棚の下で暗く、なおかつ左の子の奥で陰になってしまったため、幽霊のような写り方になってしまったのだと思われる。(こちらの、「P-MS729SA改」式の写真などは、棚の下が暗くなっていて問題の心霊写真の撮影状況とよく似ている)
上は、『超恐怖!心霊写真集』黒田みのる(勁文社)のP15に掲載されている写真。
【相談者による説明】 修学旅行の記念に滝のところで撮影。
【霊能力者の鑑定】 この写真に写っているのは、滝で亡くなった若い女性。水のあるところには、よく霊が集まるのだとか。
【解明】 これは「シミュラクラ現象」(類像現象)と呼ばれるものである。この現象は、三つの点が集まった図形が人間の顔のように見えるという錯覚現象(右図参照。均等に配置されていなくても顔に見える)で、身近な例で言えば顔文字(^-^)などがこの現象を利用したものだ。(顔文字のひとつひとつは単なる記号)
今回、この現象の分かりやすい再現写真として、『真があって運の尽き』の記事から画像を転載させていただいた。(転載を許可してくださった管理人の麻里様には改めて御礼を申し上げたい)
左から2番目の写真は、市販されている画像素材集の中の一枚。そして右から2番目の写真は、『Pittsburgh Pattern Recognition』というサイトにある、顔認識ソフトを利用してつくった写真。
この二つを見比べると、単なる普通の写真でもシミュラクラ現象という錯覚現象を利用すれば、簡単に「心霊写真」が出来てしまうことがわかるだろう。(シミュラクラ現象に関するより詳しい説明は、こちらのページが詳しい)
上は、『世にも怪奇な心霊写真集』宜保愛子(大陸書房)のP79に掲載の写真。
【相談者による説明】 長野県の木曽福島に行ったときに撮ったもの。
【霊能力者の鑑定】 宜保愛子の鑑定によれば、屋根瓦のところに坊主頭の「直立した歩哨」が見えるそうで、これは地縛霊なんだとか。
【解明】 これは地縛霊などではなく、屋根の
上は、『心霊写真の神秘』中岡俊哉(永岡書店)のP97に掲載されている写真。
【相談者による説明】 なし。
【霊能力者の鑑定】 中岡氏によれば、ネクタイをつけた男が写っているが、二重写しの可能性はないとのこと。 「霊気法」という鑑定法で鑑定してみると、この写真には三つの霊体が写っているらしい。 さらにそれぞれの霊はあまり良い死に方をしてないので、恨みつらみを残した怨霊的なものになっているのだとか。
【解明】 これは、窓に顔が反射しただけの写真である。右下には窓わくまで写っている。おそらく、サファリパークみたいなところで、車内から動物を見ているところだろう。
上の写真は、当サイトへ解明を依頼された心霊写真。
【相談者による説明】 一人で旅をしていたときに、自分の車を撮影したら、助手席に見知らぬ人の顔が写っていたとのこと。
【霊能力者の鑑定】 なし。
【解明】 この心霊写真を見ると、確かに助手席には人の顔のようなものが写っている。しかし冷静になってよく見てみよう。この顔のように見えるものの正体は、後ろにある車の右側後輪(タイヤ)であることがわかる。
タイヤのホイールの形が、たまたまシミュラクラ現象によって人の顔のように見えてしまったのである。(右の写真は、どの車のタイヤか矢印で示したもの)
左は、『織田無道の心霊写真』(リイド文庫)のP27に掲載されている写真。
【相談者による説明】 なし。
【霊能力者の鑑定】 織田無道によれば、ここに写っている白い球体(オーブ)は全部、霊魂なんだとか。
【解明】 オーブは心霊写真としては有名なものだが、その正体は(いくつかの例外を除いて)空気中に漂うチリやホコリの粒子、水滴などが、フラッシュや日の光などに反射したものである。(詳しい説明は、フジフィルムのサイト内にある こちらのページが分かりやすい)
左から2番目の写真はホコリで再現したもの。右から2番目の写真は、『Rocky Mountain Paranormal Research Society』と『A.A.C.S.I.C.H』いう懐疑派の心霊写真解明チームに所属している、マーク・マニングとブライアン・ボナーが撮影したオーブの再現写真。(被写体は空気中のチリ)
右の写真は、それを拡大したもの。よく「本物」のオーブは、拡大すると人の顔が見えると言われるが、空気中のチリでも拡大すれば人の顔を見ることができる。(正体はシミュラクラ現象)
左と真ん中はコミュニティで解明を依頼された写真。右は比較写真。
【相談者による説明】 那須の貸し別荘に友人たちと行った際、夜中に写真を撮影したところ、無数の西洋の盾のような形をした白いものが写っていたために解明を依頼。(左と真ん中の写真下部に写っている白い光は、写真をデジカメで撮った際に反射したフラッシュ)
【霊能力者の鑑定】 なし。
【解明】 こういった背景がすこしピンボケした写真に白いものが写っている場合、原因はカメラの絞り(アイリス)が写りこんだ可能性が高い。この「絞り」というのは、カメラに入ってくる光の量を調節するためのもので、リンク先でも説明されているとおり、羽板を合わせて調節する仕組みになっている。(ちなみにこの光量を調節する仕組みはカメラだけでなく、人間や動物の目にも同様の仕組みが備わっている。猫の目が一番わかりやすい)
また、絞りの形をうまく利用すれば、こちらのように星型の綺麗な写真を意図的に撮ることも可能である。
ただし絞りの形は、通常、円形や正多角形が多いため、今回のような西洋の盾、もしくは魚のクリオネ型をしたものというのは実際にあるのかわからなかった。
そこで、相談者の方にカメラのメーカーと型番を聞いたところ、CanonのIXYリミテッドバージョンであることが判明したので、私がCanonへ問い合わせて同機種の絞りがどういう形をしているのか調べてみた。
すると、この機種の絞りは、問題の写真に写っている白いものと同じ、西洋の盾のような珍しい形をしていることがわかった。つまり、問題の写真に写っている白いものは、カメラの「絞り」(アイリス)の形が写りこんでしまったものだったのである。
上は、当サイトへ解明の依頼があった心霊写真。
【相談者による説明】心霊スポットとして有名な東京競馬場の「魔の第三コーナー」近くの寺院で写真を撮ったら、門の横に「白い着物を着た女性」が写っていたとのこと。ちなみに周囲は墓地で、不気味な雰囲気が漂っており、この寺院に入ってから常に誰かに見られているように感じたという。
【霊能力者の鑑定】 なし。
【解明】 まず、左の黒い服を着た男性の足が透けているが、これは夜や夕方など、光量が少ないためにシャッタースピードが遅くなった状態のときに被写体が動くと像がうまく焼きつかず、透けて写ってしまうことが原因である。相談者もこのことは理解しているようで、問題にはしていない。
相談者が問題にしているのは、赤い四角で囲った箇所である。私が最初にこの写真を見たとき、問題の「白い着物を着た女性」は、ただの白い石に見えた。そこで相談者には、現場に石があったのではないかと問い合わせたところ、何もなかったとの返事をもらった。
しかし心霊写真全般に言えることだが、撮影者の記憶というのは当てにならないことが多い。そこで、私は直接現場へ行って調べてみることにした。
以下は、問題の心霊写真が撮られた約一週間後に私が現場に行って撮影してきた写真である。
ご覧いただければおわかりのとおり、
私が行ったときも、問題の箇所には確かに何かがあった。しかし、その正体は「白い着物を着た女性」などではなく、やはり石だった。
中央の写真は、同じ角度からさらに近づいて撮影した写真。夜なのに白く写っていたのは、すぐ近くに照明があったからだということがわかる。右の写真は、石の正面から撮影したもの。正体は石碑である。
この事例を見ればわかるように、心霊写真を解明する上では、心霊スポットの撮影現場で「相談者がどのように感じたか」といった感想は、実はあまり役に立たない。
本当に重要なのは、思い込みや勘違いの可能性を排除し、可能なら直接現場へ赴いて調べてみることである。そうすれば写真を見て恐がっているだけでは見えてこない、その「心霊写真」の真相が見えてくる。