【ソウル=箱田哲也】韓国最高検は4日、証券会社の売却に絡んで不正な金を受け取った疑いが強まったとして、盧武鉉(ノ・ム・ヒョン)・前大統領の実兄の盧建平(ノ・ゴン・ピョン)容疑者(66)を、民間人の収賄類似行為を禁じるあっせん収財容疑で逮捕した。建平容疑者は一部容疑を否認しているという。
韓国メディアの報道などによると建平容疑者は05年6月、盧・前大統領の高校時代の同級生の元ゴルフ場経営者から「農協が世宗証券を買収できるよう助けてほしい」と頼まれ、世宗証券の大株主と韓国農協中央会長を引き合わせ、多額の金品を受け取った疑いがある。
06年1月に農協による世宗証券の買収が確定。大株主は翌月、元ゴルフ場経営者に30億ウォン(約1億9千万円)を渡したとされ、その金の一部が建平容疑者に渡ったとみられている。
韓国では8月に現職の李明博(イ・ミョン・バク)大統領夫人のいとこが比例代表候補の選定に絡んで金品を受け取ったとして公選法違反で逮捕されたばかり。盧氏の実兄の逮捕により、80年に就任した全斗煥(チョン・ドゥ・ファン)氏以降、6代の大統領全員の親類から逮捕者が出たことになる。韓国大統領には権力が集中しており、大統領の縁故に頼って利権を得ようとする事件が後を絶たない。