世界同時不況の衝撃
世界的な景気悪化にひきずり込まれた日本経済の現状を検証
【経済】止まらぬ『非正規』切り2008年12月5日 朝刊 企業の生産現場で非正規従業員の削減が止まらない。4日にはキヤノンの生産子会社やホンダなどで削減が明らかになった。世界的な景気悪化が幅広い製造業に減産を強いている状況だ。雇用情勢の悪化は、後退局面に入った日本経済にさらなる打撃を与えそうだ。 ◆キヤノン1100人削減 子会社キヤノンがカメラの生産子会社、大分キヤノン(大分県国東市)などで請負社員らを削減することが四日、分かった。削減規模は一千百人強となる見込み。世界的な景気減速によるカメラ需要などの低迷で、生産調整するため。 厚生労働省によると、キヤノンは年内に製造現場などで働く請負社員らの契約を更新しなかったり、中途解約したりするという。大分キヤノンでは一千七十九人を、複写機関連の生産子会社、大分キヤノンマテリアル(大分県杵築市)で八十人を減らす。 キヤノンは「減産に伴い請負契約を一部解除するが、具体的な削減規模は把握する立場にない」としている。 キヤノンは二〇〇八年度のデジタルカメラの出荷計画を当初の二千九百四十万台から二千七百九十万台に下方修正しており、人員削減が必要と判断した。 国内の製造業は、自動車業界が減産に伴い非正規社員を相次いで削減しているほか、電機業界でも人員削減の動きが広がっている。輸出産業の工場がある地方を中心に、雇用情勢が急速に悪化している。 ◆東芝も540人追加東芝が、半導体生産子会社の大分工場(大分市)で、期間従業員約三百八十人を来年三月末までに削減することが四日、分かった。世界的な経済情勢の悪化で、半導体需要が低迷し生産調整するため。 北九州工場(北九州市)でも派遣社員約百六十人を年内に削減する。 東芝は今年七月以降、半導体生産の四日市工場(三重県四日市市)と岩手県北上市の子会社工場でも、派遣社員や期間従業員計約三百八十人を削減している。 ◆ホンダさらに490人ホンダは四日、四輪車や二輪車の減産に対応するため、四輪車用エンジンなどを生産する埼玉製作所(埼玉県狭山市)など国内の四工場で働く期間従業員四百九十人を来年一月末までに追加削減することを明らかにした。 既に十二月末までに同製作所の期間従業員二百七十人を削減することを発表しており、計七百六十人の削減になる。 追加削減の対象になるのは、埼玉のほか、浜松(浜松市)、栃木(栃木県真岡市)、熊本(熊本県大津町)の各製作所。 人数の内訳は明らかにしていない。鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の削減は見送る。 国内工場に在籍する期間従業員は十一月末時点で約四千三百人。二月以降も状況に応じて削減する。 また、来年二、三月の二カ月間、稼働を休止する英国工場では正規従業員の希望退職を十二月から募っており、世界規模での人員削減も加速している。
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