COP14の会期中、交渉に最も後ろ向きな国に環境NGO連合が贈る「化石賞」に、3日は日本が選ばれた。国内の温暖化対策が甘いことが「認められた」=ポズナニ、山口写す
【ポズナニ(ポーランド)=山口智久、石井徹】国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)は3日、13年以降の温室効果ガスの削減目標をめぐる論議が本格化し、先進国と途上国の激しい対立が続いた。先進国が途上国を含めた世界全体の長期目標を求めたのに対し、途上国側は「先進国がまず中期目標を示すべきだ」と反発している。
2日から3日にかけて開かれた長期的な削減目標を含む「長期ビジョン」をめぐる研究会で、日本は「温室効果ガスを50年までに世界全体で半減させる」ことを提案。米国や欧州連合(EU)も同調した。ただ、途上国の多くは先進国が20年までの中期的な削減目標を先に示すよう求め、議論は平行線をたどった。
海面上昇や干ばつなどの影響に直面している途上国は、被害軽減策への先進国の支援が足りないとも非難した。ボリビア代表が、金融危機で苦境に陥った金融機関への先進各国の支援が巨額だったと批判し、「先進国は地球よりもウォールストリートの方が大事なのか」と発言すると、会場は拍手で沸いた。
3日には、先進国の削減可能量に関する研究会も開催。日本は産業部門などセクター別に可能量を測る指標を紹介したが、自らの中期目標は来年発表すると説明。ロシアやカナダも数値に言及しなかった。日本は「米新政権が交渉に参加するまで、数値には触れるべきではない」との姿勢を崩していない。
先進国全体の削減可能量や削減幅についての分析は、COP14で終えることになっていた。このため中国は「ここで削減幅を決めないとCOP15での合意の足かせになるのではないか」と批判した。
研究会では、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、温暖化による重大な影響を避けるには20年までに先進国全体で90年比25〜40%削減する必要があると改めて強調した。こうした削減幅をどこまで採択文書に盛り込むか、12日の最終日に向けてぎりぎりの折衝が続きそうだ。