奈良大学(奈良市)は4日、源氏物語を読むための辞書「源語梯(げんごてい)」の版木2枚が見つかったと発表した。源語梯は江戸時代に出版され、源氏物語が普及し、国民的文学になる過程で重要な役割を果たした。調査した永井一彰・奈良大教授(近世国文学)によると、源氏物語関係の版木が発見されるのは極めて珍しい。
京都市内の古書店から購入した版木約500枚の中にあり、データベース化の過程で見つかった。永井教授によると、版木(縦約13センチ、横約56センチ、厚さ約2センチ)は表裏に文字が彫ってあり、1枚で8ページ分。版木は全部で45枚あったとみられる。版権の売却で複数の書店が分割所有し、絶版になった後、処分されるなどしたらしい。
源語梯は1784年発売。作者不明。現代の文庫本に近い大きさで、源氏物語に出てくる言葉を分野別、いろは順に「うへびと 殿上人ナリ」などと意味を説明している。【高瀬浩平】
戦時中、燃料として使われるなどしたため、版木が残っているのは珍しい。文章を訂正する際、木を削って埋めた跡が版木に残る場合もあり、今後の調査も興味深い。
毎日新聞 2008年12月5日 東京朝刊