解雇による人件費圧縮はどこまで有効か?
株式会社ENNA 代表取締役
人事業務に携わって10年目。リストラの効果と悪影響を整理してみようと思います。経営者や人事に携わる方へちょっとだけ時間を頂ければと思います。
5.解雇対象者への説明不十分による「地位保全」訴訟の発生
6.解雇対象者の自傷・自殺等による管理不十分に対する賠償
7.その他、企業のイメージダウンに伴う見えない価値の流出
8.連日の解雇面談による人事担当者の傷病(うつ等)
以前、このINSIGHT NOW!にて、社員の自殺に関するケーススタディを書いたことがありますが、もし発生すれば、会社が抱えるコストは1名で2億円程度になるようです。
もちろん保険で対応できる範囲にしているとは思いますが、リストラを遂行するには、それなりのリスクマネジメントが必要になります。
これらのリスクマネジメントについては、最近保有者が増えている「CFE(公認不正検査士)」の資格をお持ちの方がいらっしゃれば、聞いてみて頂ければと思います。
大手企業のように、ある一定期間に一気にコスト削減をしなければならないとなれば、バブル崩壊後のリストラを同じ手法をとるしかないのかもしれません。
もし、中小企業で、リストラを検討している企業があれば、決断をする前に、労働分配率という考え方に基づいて、社内のコストを全て見直してからでも遅くはないのではないか・・・と思うわけです。
人事と総務、経理と財務、そして会計士や税理士を交えて、会社でかかっているコストを洗い出してから、社員の人生を考えて頂ければと思います。
最後に・・・
■時流に乗ることも一つの経営判断
金融不安から経営不安という流れの中で、リストラクチャリング(会社・事業経営の再構築)を行う数少ないチャンスと考えることもできます。
1986年に制定された労働者派遣法は、2004年の改正に伴い、初めて製造業に人材を派遣できるという内容に変更されました。小泉政権の時です。当時の改正に関する議論において、消極派はこの現在の状況を想定して製造業種への拡大を恐れていたわけです。が、施行されました。
ただ、鉄鋼メーカーの高炉が止まる(復旧に多大なコストがかかるため通常は行わない措置)ほどの経済環境の悪化は想定していなかったわけで、好きでリストラするわけではないのだから・・・不可抗力ではないか?とも思うこともできなくはなく。
もし自分自身が人事担当者だったら・・・、会社が人件費圧縮を早急に進めるようにと指示があれば、人員の削減という手段がもっとも手っ取り早いと判断をしてしまうのかもしれません。
シリーズ: Restructuring
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