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県へ住民署名を提出 群大病院の小児科医引き揚げ問題 群馬

2008.12.5 02:30

 群馬大学医学部付属病院(前橋市)が来年度、県内の基幹病院に派遣している小児科医の引き揚げを検討している問題で、群馬県館林市の安楽岡一雄市長と邑楽郡の5町長が4日、県庁を訪れ、小児科医確保を要望する住民署名を大沢正明県知事に提出した。他の地域でも、現状維持を望む声は深刻だが、群大病院の方針転換は困難とみられ、人口流出を懸念する声も出ている。

 「館林厚生病院は館林・邑楽19万の住民の命を守る『最後のとりで』」−。4日、安楽岡市長らが大沢知事に提出した要望書には、小児科の夜間診察だけでなく、地域医療全体に及ぶ悪影響への焦燥感が滲んでいた。

 要望書とともに提出された署名は、館林市の5万8886人分。市の総人口の約73%にあたる。安楽岡市長が「住民の危機意識。県にもっと動いてもらいたい」と市民の“声”を訴えたのに対し、大沢知事は「医師確保に向けて真剣に努力している」としたものの、具体的な対応策には触れず、「安心して暮らせる医療体制を1日も早く作りたい」と述べるにとどめた。

 これまでに、群大から小児科医の引き揚げ打診を受けたのは館林厚生病院のほか、県立小児医療センター(渋川市)、公立藤岡総合病院(藤岡市)。小児科医の不足は、共通の大きな悩みとなっている。

 常勤小児科医2人の引き揚げを打診された館林厚生病院の宮城修病院長は「小児科医が減ると医療全体が一歩引き下がる。すべてを1人の医者で見るわけではない。行政で医療環境を整えてほしい」と訴える。同病院総務課によると、19年度実績で小児科では1日に平均外来40・6人、入院11・7人の患者を診察しており、医師が2人いなくなると、入院患者はおろか、外来診療自体も継続が難しくなるという。

 一方、小児集中治療部などで常勤医が不足し、5人を急募する県立小児医療センターは「なんとか影響が出ないようにしたい。現状維持を要望し、今後については協議中」と苦しい実情を吐露。藤岡総合病院は「(群大から引き揚げを)正式には示されていない」と静観の構え。

 ただ、藤岡市健康づくり課では「これから子供を産む女性が不安を持つと、人口の流出も考えられる」と頭を抱える。小児科医不足がもたらす地域社会の地盤沈下への懸念は確実に高まっている。

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