年末恒例の「新語・流行語大賞」が決まった。今年は最高位の年間大賞に「アラフォー」とお笑い芸人エド・はるみさんのギャグ「グ〜!」が選ばれた。
四十歳前後の女性を指す「アラフォー」は、女優天海祐希さん主演のテレビドラマで広がった。自主性が強くオシャレで消費を担う世代でもある。北京五輪で日本に金メダルをもたらした女子ソフトボール上野由岐子投手の「上野の413球」も審査員特別賞と、上位を女性が独占した。
これに比べ、ベスト10の残る作品は何とも重苦しい。雇用の厳しさや貧しさを映す「名ばかり管理職」「蟹工船」、強い反発を浴びた「後期高齢者」、官庁街の「居酒屋タクシー」といった具合だ。
今年で二十五回目。明暗ともに世相を突いた言葉の妙に感心させられてきた流行語大賞だが、審査結果からは心なしか違った印象を受ける。
世の中は深刻化する景気や雇用の悪化、年金など相次ぐ不祥事、そしてなかなか応えてくれない政治への不満が重なる。もはや笑い事では済まされない状況下で、上位三点の女性たちのように「元気を出して明るく進もう」との審査員のメッセージを感じさえする。
先行きの不透明さを抱えながら今年も押し詰まっていく。政治が国民の心をしっかり「キャッチング〜」する日はいつか。