【台北=野嶋剛】台湾の馬英九(マー・インチウ)総統がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪台について3日、「今の状況では良い時期と思わない」と発言し、波紋を呼んでいる。馬総統は以前はダライ・ラマの訪台を歓迎すると述べており、背後には中国への配慮がありそうだ。
もともと馬総統は3月の総統選中に起きたチベット暴動で中国政府の対応を厳しく批判し、五輪参加拒否にも言及。就任後もダライ・ラマの訪台を「歓迎する」としていた。ところが3日、外国人記者団の質問に答えた馬総統は、ダライ・ラマが09年の訪台を希望していることに対し、拒む考えを表明した。
台湾のチベット人組織「在台チベット福利協会」のジャンガ会長は「馬総統は選挙の時と比べ、変化があまりに大きく、非常に残念で不可思議だ」と話す。
野党民進党は「北京の圧力に屈し、北京の顔色をうかがうやり方だ」と批判。国民党の王金平・立法院長(国会議長)も「宗教的な訪問なら台湾に不利な部分はなく、再検討してはどうか」と疑問を呈している。