１０月に越前市内でひき逃げ被害に遭った競輪Ｓ級２班の鷲田佳史選手（２５）＝福井県福井市＝が２日、同市の武生工高の自転車講習会で講演した。被害者としての体験を交え、生徒たちに自転車の交通マナー向上を訴えた。

　鷲田選手は１０月１２日午前１１時４０分ごろ、越前市千合谷町の県道トンネルで、福井市内の高校生３人とトレーニング中、後ろから来た乗用車にはねられ、右ふくらはぎを切るなど全治１カ月の重傷を負った。逃走した乗用車を運転していた犯人は８日後、福井市内で逮捕、起訴された。

　１年生１４１人を前に鷲田選手は「一度止まって駆けつけて来て、救助を約束して逃げられて何とも言えない気持ちになった」と当時の心境を語った。その上で、事故被害に遭った場合▽必ず警察に届ける▽周囲の安全を確保する▽ナンバーを控えるなど、加害者が逃げられない状況をつくる―の３点を守るよう呼び掛けた。

　また、「誰でも加害者になる可能性はある」とし、加害者になった場合「絶対に逃げないで。逃走したら罪が重くなる」と訴えた。

　聴講した竹内隆君（１５）は「事故被害者や加害者になったときの心構えがよくわかった。自転車に乗るときは、人に当たらないのはもちろんだが、もし当たってしまっても逃げずにきちんと対応する」と話していた。