Musicman-NET TOPSPECIAL REPORT & INTERVIEW 映画『ROCKERS【完全版】』公開記念座談会



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山浦:あの当時のs-kenスタジオは変なのがいっぱい来てたね。泉谷しげるとか八木康夫さんとか、この映画を撮った津島さんもフジテレビの制作を辞めて出入りしてたんだよね。


s-ken:この映画でいうと、やっぱり津島さんの作品なんだよね。あの当時のヒップな現実とはちょっと違ってて、革命じゃないけどそんな感じの主張を盛り込みたいような、そういう古さがあるよね。


モモヨ:恣意的なんだよ。そういうパンクっぽい曲を演ってほしいって、それぞれのバンドにリクエストしてたからね。


s-ken:東京ロッカーズの良さっていうのはニューヨークなんかとも似ているんだけど、皆でつるむんだけど、ある意味ドライな面もあってね。レイブとかヒッピーなんかみたいな宗教がらみっぽい(笑)、そういう方向に向かわなかったのが良かったなぁ。


FRICTION 山浦:パンクって、やっぱり個のものだからね。


s-ken:日本の今のJ-POPシーンってこう、誰が出世するか? みたいな、そういうところで競っているのばかりが目立ってね。だから新しい音楽を生み出すようなミュージシャン達によるネットワークがほとんどないし。東京ロッカーズが創ったシーンの方が、バンドの交流もアグレッシヴで創造的だったと思うよ。だけど、そこでレボリューションのノリで「ぶちやぶれ」を解釈されちゃうと、それは違うなとは思うのだけどね。


山浦:でも当時、聴いていたほとんどのヤツは、そういう気分だったはずだよ。自分の中で何かを変えなければならないって。


地引:個がそれぞれ自立した上で結びついてるし、共通の場面はあったからね。でもこの映画は、やっぱり何かあの頃の実際の雰囲気とは違うように感じるね。


s-ken:それは、これが監督の作品だからさ。ドキュメンタリーっていっても、彼の映画なんだから。だから「これが東京ロッカーズの全貌です」っていう見方よりも、彼の表現だとして観てもらう方が正しいと思う。


山浦:現にこれをフィルムとして残したいと思ったのは、彼ひとりだし。失業していながら映画を撮ることについては、家族が相当、困ったそうだよ。


モモヨ:「フィルムが買えないから、しばらく撮影が空いちゃうんだ」とか言ってたね。最初は全編をカラーで撮る予定だったんだけど、俺達を撮った後あたりからモノクロのフィルムで撮りだしたんだよ。相当、お金に窮していたんだね。


●アレって、ネラいじゃないんですか? たまたまなんだ。


山浦:ホントに金が無くて、現像代も払えてないのね。それで長い間、マスター・フィルムは現像所に召し上げられていたの。それを僕が見つけてニュープリントを起こして、この度、日の目を見ることになったんです。


地引:この頃の時代の流れって、何か特別、スペシャルに見えるよね。


モモヨ:スペシャル? どん底ってことだったんだよ。皆、失業者だったわけで(笑)。なりふり構っていられないって感じでしょ?


山浦:パンクって「金がないこと」だと思っていたよ(笑)。


●客もそのような気分を共有していたと思います。世の中、歌謡曲が全盛で、今よりも選択肢のない保守的な状況でしたし。その中で、数少ないライブハウスだけはなぜかキラキラしていたものを放っていましたね。まぁ、集まっているのは自閉気味なヤツらばかりでしたけど。ノリも悪いですしね。腕組んで上目遣いで、ホントはドキドキしてたと思うんだけど、どう観ていいか分からない(笑)。おまけにバンドの人達も強烈におっかないキャラクターなんで、正直、戸惑ってた部分もあると思います。


地引:あの緊張感は僕も覚えているね。レコードしか聴いていないから、現場の空気感が量れないんだよね。



山浦:洋楽を聴いている者にとって、当時の日本のバンドのビートはとても物足りなかったんだよね。でも、こいつらだけはヘタなんだけど、ビートだけはギンギンにあったんだよね。



地引:s-kenが当時、「小説でもなんでも一行読めば、ビートがあるかないか分かるんだよ!」って言ってたよね。



s-ken:そんなこと言ってたかな?(笑)



山浦:いつの間にか、今のロックもビートを意識しなくなっちゃってるよね。



s-ken:東京ロッカーズには、その核にフリクションとリザードがいたんだと思いますよ。この2つがいなかったら、完成度は相当に低いと思います。もう1つか2つ、あのクオリティのバンドがいたら面白かったとは思いますけど。



山浦:次の世代からはBOφWYなんかのメジャー感を持ったヤツらが現れてくるわけですから、「東京ロッカーズ」が最初にホンモノのビート・ミュージックに火を点けたってことは言えるんじゃないですかね。



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-2008.10.6 掲載


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