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12月3日の中医協

 中央社会保険医療協議会(中医協)は12月3日、総会と基本問題小委員会を開いた。総会では、サリドマイドが主成分の「サレドカプセル100(100mg1カプセル)」など9成分13品目の薬価収載を承認した。基本問題小委は、DPCの在り方が議題だった。2007年度DPC準備病院が対象病院に移行する際の基準になる「データ/病床比」(「退院患者の全データ数」/「DPC算定病床数」)については、今年4月に実施された診療報酬改定前のルールでデータ数をカウントすることになった。また、DPCに移行した後の調整係数の算定方法は、準備病院が提出した07年度(6か月分)、08年度(4か月分)のDPCデータでそれぞれ調整係数を計算し、均等割りする案を了承した。

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■「サレドカプセル100」、申請者側の不服意見受け入れ
 総会の議題は、▽医薬品の収載▽その他―の2点。
 医薬品の収載では、「サレドカプセル100」など9成分13品目の審議結果を、中医協薬価算定組織の加藤治文委員長が報告した。

 加藤氏は、サレドカプセル100について、「最類似薬をボルデゾミブ(ヤンセンファーマ)にした『類似薬効比較方式(T)』による算定が妥当と判断した」と説明。当初は希少疾病に適用する「市場性加算(T)」として加算率10%を適用する算定案を決めたが、同加算の加算率を20%に引き上げた上で、治療方法の改善が見込まれる場合に適用する「有用性加算(U)」として5%の加算を求める不服意見が申請者から上がっていた。

 加藤氏によると、有用性加算(U)に関する不服意見で申請者は、▽副作用が重篤なボルデゾミブに比べて長期投薬が可能▽治療初期の入院が必要なボルデゾミブに対し、サレドカプセル100では治療初期から外来投薬が可能−と主張。
 さらに、患者数が非常に少なく、開発を引き受ける企業がない中、患者の要望に応える形で開発に着手したとして、市場性加算(T)の引き上げを要求した。
 薬価算定組織は申請者の主張通り、有用性加算(U)として5%、市場性加算(T)として20%の適用を決定し、算定薬価は100mg1カプセルで6570.40円になった。

 サレドカプセル100以外に薬価収載を承認したのは、「ラミクタール錠小児用2mg、小児用5mg、25mg、100mg」(グラクソ・スミスクライン) 、「ホスレノールチュアブル錠250mg、500mg」(バイエル薬品)、「ウェールナラ配合錠」(同)、「ピレスパ錠200mg」(塩野義製薬)、「ノーベルバール静注薬250mg」(ノーベルファーマ)、「タイロゲン筋注薬0.9mg」(佐藤製薬)、「タプロス点眼液0.0015%」(参天製薬)、「メノエイドコンビパッチ」(あすか製薬)で、いずれも12日に収載する。

■個人輸入による薬害救済「検討していない」
 総会の質疑で、支払側の勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、サリドマイドを個人輸入するケースが見られる状況を指摘。サレドカプセル100が薬価収載されることで、より安価な個人輸入に頼るケースが増える可能性を想定しているかや、個人輸入で薬害が発生した場合の対応を検討しているかなどを、加藤氏と厚生労働省側に質問した。

 これに対し、加藤氏は「(収載薬価が個人輸入に比べて)非常に高くなると、並行輸入が続いてしまうのではないかという危惧(きぐ)は十分、考慮した」と述べ、薬価算定組織では申請者がリスクを伴いながらも開発した点に配慮したことを強調した。
 安全面では、専門家や薬害被害者による第三者機関が管理すると説明。さらに、これ以外の対策として、▽妊娠の可能性がある患者に処方する際の妊娠検査の実施▽男性服用者による避妊の徹底▽薬の譲渡禁止の徹底−の3点を挙げた。

 一方、厚労省の薬剤管理官は、薬害が生じた場合の対応について、「基本的には薬事の方で副作用被害救済制度の対象になると聞いているが、妊娠した人には使わないことを前提に承認されているので、こうした条件を守って使われた場合に救済の対象になる」と説明。
 また、個人輸入による薬害救済については、「わたしどもの方では検討したことはない」と述べた。

 ※詳しくは、【サリドマイド製剤、年明けにも販売】をご覧ください。

■「データ/病床比」のカウントは07年度のルールで
 続く基本問題小委員会では、DPCの在り方が議題になり、現在の調整係数に代わる新しい機能評価係数に関する議論に着手した。このほか、07年度DPC準備病院が対象病院に移行する際の基準になる「データ/病床比」の取り扱いや、DPCに移行した後の調整係数の算定方法が焦点になった。

 このうち「データ/病床比」については、今年4月に実施された診療報酬改定前のルールでデータ数をカウントする方向性を示した厚労省案を了承した。
 厚労省保険局の宇都宮啓企画官は、「発想としては、DPC対象病院になるかならないかの基準」と述べた。その上で、「一病床当たりの退院患者(データ)がどれだけ居たか。つまり急性期の病床であればそれだけ回転が速いだろうということで、一定以上の数でないと急性期と認めないという発想だ」と説明した。

 4月の診療報酬改定でDPC関連では、▽同一疾病による退院から3日以内の再入院を一入院として扱う▽退院時だけでなく、DPC算定病棟から転棟した場合にもデータを提出する−ことに取り扱いを変更した。このため、今年度分のデータを改定後の方法でカウントすれば、07年度と08年度のデータの数が変わってしまう。
 そこで同省は、08年度DPC対象病院との整合性を図る観点から、07年度準備病院についても改定前の方法で2年度分のデータ数をカウントする案を提示した。

 改定前の方法でデータ数をカウントする場合の考え方として、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は「3日以内の再入院は、4月からは一入院としてカウントするが、3月までは2つの入院と計算する」との解釈を示した。
 これに対し宇都宮企画官は、こうした解釈ではなく、「4月以降の再入院の場合も、07年のルールでやる(2つの入院として扱う)ということだ。こうして合わせないと、8.75という数字が(07年度と08年度とで)変わってくる」と述べた。

■調整係数の算出は2年度分データを均等割りへ
 一方、09年度にDPCへ移行する07年度準備病院の調整係数について厚労省側は、「改定前後のデータで調整係数をそれぞれ計算し、均等に相加平均を計算する(第1案)」と「改定前後のデータで調整係数をそれぞれ計算し、データ提出期間(07年度は6か月、08年度は4か月)によって加重平均を出す(第2案)」の2案を提示し、小委はこのうち第1案を了承した。

 西澤委員は「調整係数に関しては、今年度のデータだけを使う考え方はなかったのか」と質問した。これに対し宇都宮企画官は、「病床数が少ない病院が今回、参入するので、1年度分のデータだけだと、外れ値があったら大きく状況が変わってしまう。なるべくデータを多くするという意味で、2年度分にするという前提があった」と答えた。

 支払側の松浦稔明委員(香川県坂出市長)は、第1案と第2案で計算した場合の調整係数の差がどの程度になると見込まれるかを質問。宇都宮企画官は「具体的に計算していない。(2年度で算定している加算が異なるため)個別の病院によっていろいろ変わってくるが、理屈の上ではそれほどの差は出ないのではないか」との見方を示した。

 ※詳しくは、【09年度DPC対象病院、改定前のデータで】【「DPC対象病院」?「DPC病床」?】をご覧ください。

■係数ごとの機能を再評価へ
 一方、調整係数に代わる新しい機能評価係数の議論では、厚労省側がDPCによる診療報酬(入院のみ)の内訳を整理する資料を提示。さらに、DPCの報酬を包括評価部分と出来高評価部分に分類し、それぞれの内訳も示した。このうち出来高による評価項目については、医師の技術料など「いわゆるドクターフィー的要素」以外に、施設や設備を評価する「ホスピタルフィー的要素」の一部分が含まれるとの考えを示した。

 「いわゆるドクターフィー的要素」の具体的項目には、「医学管理等(手術前医学管理料、手術後医学管理料以外)」や「検査」「処置(基本点数が1000点以上のもの)」「在宅医療」など16項目を列挙。「ホスピタルフィー的要素」の具体的な内容としては、「超急性期脳卒中加算」や「地域加算」「療養環境加算」といった「入院基本料等加算」のほか、「救命救急入院料」や「特定集中治療室管理料」などの「特定入院料」を挙げた。



 支払側の対馬忠明委員は、「出来高評価部分は、基本的にいわゆるドクターフィー的な要素と理解していたが、今回、初めてドクターフィー的要素とホスピタルフィー的要素の2つに分かれると聞いた。おかしいのは、入院基本料等加算の地域加算や離島加算だ。これはまさにホスピタルフィー的な要素で、医師の技術料とはあまり関係はない」と指摘した。

 宇都宮企画官は出来高部分の考え方について、「従来の説明通り、基本的にドクターフィー的な要素のものだ。ただ、いわゆるホスピタルフィー的なものの中でも、個別の患者に資するものが一部出来高に入っている」と答えた。
 また、地域加算などに関する指摘には、「出来高の中にも機能として見ていくものがあるというご指摘だが、そういう意味を含めてすべての加算を出した。ご議論いただいて、機能として見るべきものは見ていく」などと応じた。

 遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)は「ここまで中身をきちんと中医協で議論してこなかったことがあると思う。それでもあまり問題がなかったのは、さまざまな機能を持つ調整係数が(問題を)覆い隠していたからだ。それをなくすとなると、このあたりの機能をきちっと再評価しなければならない。急性期病院はどうあるべきかという議論も絡み、大変な作業になる」と述べた。

【前回までの中医協】
11月19日の中医協(総会の資料はこちら
11月5日の中医協(総会の資料はこちら
10月22日の中医協(総会の資料はこちら
9月24日の中医協(総会の資料はこちら
8月27日の中医協(総会の資料はこちら


更新:2008/12/04 17:47   キャリアブレイン

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