後ろから“がっぷり抱き”とでも言うのか。あまり見たこともないようなみっともない格好で、横綱・朝青龍は小結・時天空が背中から絡(から)めた腕をふりほどけない。そのまま前にべったり送り倒され、初日から土がついた――。
特殊な注目を集める大相撲春場所が11日、大阪府立体育会館で始まった。 注目の理由は、横綱・朝青龍が史上最速の優勝20回目を達成した翌2月に『週刊現代』が報じた八百長疑惑。 第1報は2月3日号だ。「朝青龍は同じモンゴル出身の幕下力士を仲介者とし、下位力士から1番80万円で星を買っている」などとする関係者からの証言を紹介した。 続く2月10日号では、力士に事情聴取を行った日本相撲協会の動きを「泥棒が泥棒に事情を聞いている」と、角界を挙げた八百長構造を強く糾弾した。 これを受けて、日本相撲協会は2月8日、『週刊現代』と記事を取材・執筆したノンフィクションライターの武田頼政さんに損害賠償と謝罪広告を求める民事訴訟を起こした。一方の現代側も「(記事の)内容に自信を持っている」と譲らず、場外勝負はすでにヒートアップしている。 そんな中で始まった今場所。注目されているのはただ1点。「八百長ができない朝青龍は勝てるのか」だ。 つまり、万が一、朝青龍が何度も負ければ、これまで八百長で勝っていたという疑惑は否定しにくくなる。それとも朝青龍の圧勝を見せるために、ますます疑惑を重ねるのか。 11日、朝青龍の完敗を、講談社(東京・文京区)の『週刊現代』編集部でテレビ観戦していたという武田さんは、オーマイニュース編集部の取材に対し、「当然ですよね。稽古(けいこ)をしていない人がこれまで勝っていた方が不思議ですから。実力そのままです」と語った。 朝青龍の直前には3大関、琴欧州、白鵬、千代大海もそれぞれ豊ノ島、稀勢の里、安馬に敗れ、ガチンコの大阪場所は大波乱の幕開けとなった。 (オーマイニュース編集部ではこれからほぼ毎日、武田賴政さんに電話で取材し、取り組みの推移とコメントをお伝えしていきます) ■武田頼政氏の話(初日=11日)■ 「今日の朝青龍の負け方は格好悪かった。焦ったんじゃないでしょうか。ただ、この状況で朝青龍が全勝優勝でもしようものなら、それこそ『ふざけるな』という話になる。今日の相手・時天空は(強いので)、負けるにはよい相手だった。これがどこまで注射(大相撲の隠語で、八百長の意味)なのか、どこまで本気なのかは分からない。最終的には、良い相撲を何番かして、優勝するかもしれない。初日を見ただけでは分からない」 【関連記事】 ガチンコで春場所初日から大荒れ!疑惑の朝青龍に土<初日> 朝青龍、連敗スタートで「いきなりがけっぷち」<2日目> 朝青龍、気迫の1勝目で立て直しなるか<3日目> 星戻した朝青龍、焦点は中日あたりか<4日目> 安馬になど負けない!朝青龍3勝へ<5日目> 朝青龍4連勝、だが格下相手に不安材料も<6日目> 朝青龍、明日・稀勢の里戦がカギになるか<7日目> 朝青龍、品ないケリでも優勝争いに名乗り<8日目> 「どうやって勝とうかな、っと」朝青龍ゆるい1勝で星伸ばす<9日目> 朝青龍、真剣勝負でまたも勝つ<10日目> 見えてきたストーリー、千秋楽に決定戦か<11日目> 朝青龍、順調に10勝目_明日の波乱はあるか?<12日目> 今夜がヤマ場だ!携帯飛び交う終盤戦の魅力<13日目> ついに追いついた朝青龍、白鵬への流れを止めるのか<14日目> あっけなかった決定戦、「でもこれこそガチンコだったかも」<千秋楽>
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