約27億6000万円の累積赤字を抱えた筑西市民病院(同市玉戸)について、冨山省三市長は3日開会した12月定例市議会の所信表明で、民間に移譲する方針を明らかにした。市は「今年度中に方向性を打ち出したい」としているが、移譲先は未定で、来年度当初の移譲は難しい状況だ。
同市議会の市民病院評価等特別委員会は9月定例会で、地方公営企業法の全部適用によって職員を市職員のまま給与などを変更するか、民間移譲するかを提言していた。冨山市長は「公営企業法に移行しても医師確保は極めて難しく、民営化の選択肢を取らざるを得ないと判断した」と述べた。
同市は定例会終了後、古宇田和夫副市長を委員長とするプロジェクトチームを設置する。今後、公募を含め条件面や移譲先の選定に着手する。
同病院は72年5月に開院。常勤医は一時は23人いたが、大学病院の医師引き揚げなどで、現在は8人となり、産婦人科の出産や、耳鼻咽喉(いんこう)科などを休診にしている。市は今年1月、看護師32人と医療技術職6人の計38人を一般行政職に任用換えをするなどして経営立て直しを図ると共に、07年度は一般会計から11億円を繰り入れ、今年度も7億7000万円の繰り入れを予定している。
しかし、診療科目や患者数の減少から、医師を含む人件費は今年度11億3018万円と、医業収益の94%に達し赤字体質は改まっていない。冨山市長は「一日も早く市民に迷惑や負担を掛けないようにしたい」と話している。市議会特別委の委員長を務めた百目鬼晋市議は「病院の存続が第一で、民間移譲を見守りたい」と話す。
真壁医師会の大圃弘会長は「筑西市の2次医療を担ってもらえる形が望ましい」と話している。【小林昭雄】
毎日新聞 2008年12月4日 地方版