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【トレンド】実力か話題づくりか? 史上初の女子プロ野球選手が誕生!

nikkei TRENDYnet12月 4日(木) 12時25分配信 / 国内 - 社会
 史上初の女子プロ野球選手が誕生した。

 2009年4月に開幕が予定されている関西独立リーグの第1回ドラフト会議が11月16日に行われ、神奈川県立川崎北高2年の吉田えり(16)が、神戸9クルーズから7位で指名された。12月2日に行われた入団会見には、約80人の報道陣が集結。会見で吉田は「まずチームのみんなについていけるように、活躍できるように頑張りたい」とやや緊張気味に話したが、その後の報道陣とのやり取りでは「来年17歳になるので、背番号は17がいい」と語るなど、子供のころからの夢がかなったことを素直に喜んだ。

武器はナックルボール! 

 吉田は右横手投げの投手で、投げる本人もどう変化するかわからないというナックルボールが武器。11月上旬に行われた選手選考の合同トライアウトに参加し、ほとんどが男子の400人中、最終選考の81人に残った。最終試験では実戦形式のマウンドに登場し、MAX101キロのストレートとナックルのコンビネーションで相手打者を幻惑。打者4人に対して、三振、四球、セカンドゴロ、ショートフライと1安打も許さず、見事にテスト合格を果たした。

 吉田のプロ入りについては、新たにスタートする独立リーグの話題づくりという声も少なくない。また、投手という打者からもっとも近いポジションの選手だけに、強烈なピッチャーライナーなどの危険性を指摘する専門家もいる。しかし、神戸の指揮を執る元阪神タイガース投手の中田良弘監督は「あれだけ変化するボールは、プロでもなかなか打てない。当然、戦力として考えている」と吉田の実力を評価。起用法についても「初めは勝ち試合で使いたい」と、リードした場面で登板させる方針を示した。

吉田はプロ!  年棒は180万円

 女子の野球選手といえば、タレントの萩本欽一が率いる茨城ゴールデンゴールズの片岡安祐美が有名だが、片岡が所属するチームは、いわゆるクラブチームであり、プロではない。クラブチームの選手には給料は支給されないため、野球以外に職業を持ち、それで生計を立てているからだ。

 その点、吉田が所属する神戸は規模が小さいとはいえ、れっきとしたプロ球団であり、選手には月20万円の給料が払われる。シーズンオフの11、12、1月は支給がないため、契約期間は9カ月で、吉田の年俸は180万円となる。給料20万円は関西独立リーグ4球団共通の金額で「額を一律にするのは選手の獲得競争を抑制するため」(リーグ関係者)とされている。それでもシーズン後には、球団の興行成績などによるインセンティヴや賞与なども設定されており、活躍すれば金額アップも見込める仕組みだ。

「都市型」独立リーグは成功するか? 

 関西独立リーグは、神戸のほかに紀州レンジャーズ(和歌山県)、大阪ゴールドビリケーンズ(大阪府)、明石レッドソルジャーズ(兵庫県)の4チームで構成。年間72試合制で、4月から10月の月曜日、金曜日、土曜日、日曜日、祝祭日に各自治体、行政の公共施設及び民間企業の野球場で開催が予定されている。リーグが目標としている観客動員数は、初年度で1試合平均2000人、年間で28万8000人。3年目には規模を拡大し、2府4県(京都、大阪、兵庫、和歌山、滋賀、奈良)に各1または2チーム設置の8チーム構想をかかげており、1試合平均3500人、年間で100万8000人の観客動員を目指す。

 リーグ側は、これまでに四国や北信越に設立された独立リーグとの違いとして「都市型の独立リーグ」の優位性を挙げている。関西の中心である京都、大阪、兵庫と隣接する和歌山、奈良、滋賀がフランチャイズとなることにより、ファンとなる人口数、スポンサーとなる有力企業が圧倒的に多いという理由からだ。また、この地域の野球熱の高さも、ビジネスとして成功する要因として挙げている。

 しかし、現実的に見ると関西の野球人気は、阪神タイガースという、いわば“化け物"企業ともいうべきチームによるところが大きいと言わざるを得ない。事実、プロ野球の本家である日本野球機構(NPB)では、過去には阪神のほか、関西に南海ホークス、阪急ブレーブス、近鉄バファローズと3つも球団があったが、いずれも経営危機で現在は消滅、あるいは他地区に移転している。唯一、残ったオリックス・バファローズも、観客動員では苦戦を強いられているのが現状だ。

 そんな状況のなかで、新たにスタートする独立リーグは成功を収めることができるのか。もしそれが実現できれば、人気低迷が叫ばれている「野球」が、新たなビジネスモデルとして、その可能性を再評価されることになるだろう。そのための足がかりとしても、「日本初の女子プロ野球選手」吉田えりにかかる期待は大きい。

(文/大久保泰伸)

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  • 最終更新:12月 4日(木) 12時25分
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