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79歳、選んだ余生は刑務所…渋谷刺傷事件、懲役4年(1/2ページ)

2008年12月4日15時4分

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 東京都渋谷区の百貨店前で通行人を果物ナイフで刺すなどしたとして傷害罪などに問われた無職北川初子被告(79)に対し、東京地裁は4日、懲役4年(求刑懲役6年)の判決を言い渡した。8月22日、秋葉原で起きた無差別殺傷事件と同様のことをしようと決意して20代の女性2人に重軽傷を負わせたと認定した。

 秋葉康弘裁判官は「寝泊まりする場所のあてがなくなり、警察の世話になるためには大きな事件を起こすしかないなどという動機は身勝手この上ない」と批判。「生活が困難になったのも、先行きの見通しを持たないまま短気を起こして性急な行動を取った結果で、同情できない」と厳しく指摘した。

■刑務所に泊まるため「なんかせにゃー」

 長い人生の果て、自ら選んだ終着点は刑務所だった。

 11月中旬の法廷で、北川被告は腰を曲げて被告席に座り、身の上話をしているかのようにぽつぽつと話し続けた。「とにかく寝るところも金もない。それで警察のお世話になろうと」

 被告の法廷での説明などによると――。

 出身は大阪。戦争で女学校を卒業できなかった。結婚生活は2年で破綻(はたん)し、以後は家政婦をしながら関西や九州を転々とした。「家」を持たない北川被告は、ようやく01年ごろ奈良市内の知人宅に身を寄せた。しかし、家賃などをめぐってトラブルになり、今年7月にはそこも飛び出し、あてもなく上京した。

 そのころから刑務所で余生を過ごすことを思いつく。

 8月22日に事件を起こすまでの約1カ月間、北川被告は都内にある福祉施設に入所していた。警察の「世話」になろうと、7月にスーパーで万引きをした。気づいてもらえず浅草署に自首。署や区役所からその施設を紹介された。

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