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◆クラスター爆弾はどんなふうに危ないの?
なるほドリ クラスター爆弾の禁止条約の署名式があったね。この爆弾は、どんなふうに危ないの?
記者 クラスター爆弾は、空中で破裂して広い範囲に多くの「子爆弾」をまき散らす兵器です。地上に落ちても爆発しない「不発弾」が何十年も残るため、紛争の後、おもちゃだと思って触った子どもが死んだり、日常生活で市民が触れ負傷する被害が出ています。約30の国・地域で使われ、被害者は5万~10万人とみられます。その98%は市民です。8月のロシアとグルジアの紛争でも使われ、オランダの記者が死亡しています。
Q なぜもっと早く禁止しなかったの?
A 米国や中国、ロシアなどが規制に反対したからです。しかし、06年の第2次レバノン戦争でイスラエルが大量に使い、約100万発の不発弾が残りました。昨年2月、ノルウェーなどが立ち上がり、08年中に禁止条約を作るために話し合いを始めました。その結果、今年5月、ごく一部を除き禁止する、事実上の「全面禁止」条約案に107カ国が合意しました。
Q 当然、日本もこの爆弾に反対していたんでしょう?
A 残念ながら迷っていました。米ソが対立した冷戦時代「敵が上陸した時に広い範囲で撃退する必要がある」という理由で、自衛隊がクラスター爆弾を持ち始めました。冷戦は終わったのですが、米国に配慮し立場をあいまいにしたのです。しかし、英独仏などが次々と「全面禁止」に賛成し、日本も最後は賛成しました。
Q 危険な兵器なんて全部なくしてしまえばいいのに。
A 放射能の影響が懸念される「劣化ウラン弾」でも禁止への動きが生まれています。ただ、核兵器のように、相手が持つなら自分もという「疑心暗鬼」から、世界はまだ抜けられていません。兵器を大量生産する「軍需産業」もあります。戦争で、お金がもうかる仕組みを変えていくことも必要ですね。(外信部)
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毎日新聞 2008年12月4日 東京朝刊