医療安全調の設置などで意見交換
12月3日に「医療フォーラム」が東京都内で開いた公開フォーラムの後半では、「医療安全対策について」と題した4人による基調講演とパネルディスカッションがあり、医療安全調査委員会(仮称)などについて活発に意見を交換した。日本看護協会の永池京子常任理事は、「医療安全対策:現状と課題」のテーマで講演し、「医療安全調査委員会は単に設置すればいいわけではない。事故が発生した施設による適切な院内事故調査の実施のための仕組みづくりこそが重要」「同委員会には、医療安全に造詣の深い看護職の参画が不可欠」などと同協会の見解を述べた。
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永池常任理事は、新聞報道などによると、看護職が関与した医療事故は、2004−06年は90件台で推移していたが、07年は70件台に減少したと指摘。
今後の課題としては、▽個々の資質の向上(看護基礎教育のさらなる充実、卒後臨床研修制度の導入、倫理観の醸成)▽真のチーム医療の実現(クリティカルシンキング、自律的判断に基づく看護の実践、インフォームドコンセント、役割分担・連携・チームワーク)▽安全のための組織、システムの構築(労働環境の改善、医療安全活動に関する人材とコストの確保)―の3点を挙げた。
東大医科学研究所の上昌広特任准教授は、「医療と法のコンセンサス形成」をテーマに講演。05−06年を境に「医療崩壊」「分娩休止」関連の報道が一気に増えたことを指摘し、「国民のコンセンサスを得ることで社会は動く。われわれは正確な情報を、社会あるいは医師に提供していくことが大切だ」と強調した。
東京医科歯科大の岡嶋道夫名誉教授は、「医師の職業倫理規則と自律規範を日本にも」と題して講演。「多くの国は、すべての医師に対して拘束力のある職業倫理規則を持っている」と述べ、ドイツ、英国、フランス、スイス、ブラジルの医師倫理についての法規やドイツの医師職業裁判所の機能などを紹介した。また、「日本の医師は海外と比べると、不祥事が発生したときに自らを律することが少ない」と指摘。その上で、「医師の自律規範、自浄作用を機能させるには、弁護士法や諸外国のように法律で規定する必要がある」と強調した。事故調査委員会をめぐる議論については、「事実関係究明と事故防止が中心となり、患者への補償や謝罪が後回しになっている」との見解を示した。
日本医師会の宝住与一副会長は、「日医としての医師の職業倫理規定と医療安全について」の演題で講演。ハンドブック「自浄作用活性化推進に向けて」の作成や各地での患者の苦情相談窓口の設置など、日医の自浄作用活性化委員会の活動について紹介した。また、「医師は、患者の自主性を尊重し、患者の最大の利益のために行動すべきであり、医師、患者間がお互いに非難することのない医療文化の発展を模索すべき」などと、日医の指針について述べた。
更新:2008/12/04 16:15 キャリアブレイン
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