はじめに、私がメインで使用している売買ルールである、引け成りギャップ取りストラテジーを紹介します。
この売買ルールが機能するコアとなる概念は、「引けにかけて強かった銘柄は、翌日の寄付きも買い先行で始まることが多い」というものです。
そんな「強い銘柄がギャップアップするのを利益にかえていこう。」というのがコンセプトです。
エントリー条件としては、強い銘柄を定義するわけですから、以下のものを使用します。
■エントリー条件
“終値の前日比率が+6%以上”かつ
“25日移動平均線からの乖離率が−5%以上”かつ
“●●●●が●●●円以上”
※上記条件に合致した銘柄を、引け成りで買い
■イグジット条件
“期限切れ0日” (つまり引けで買って、翌日売るということ)
■資金管理条件
資金量500万 レバレッジ2.5倍
1ポジションあたり資産の●分の1で仕掛け
優先順位は●●●の降順で仕掛け
【注意】運用のノウハウのコアとなっている部分は一部非公開にしています。
ヒントを言えば、出来高関連の指標が鍵です。いろいろとご自身で検証してみてください。
上記の売買ルールを検証くんで検証した結果は以下の通りです。
一目でとんでもない年利になっていることがわかると思います。
ただ、ここには落とし穴があります。
検証くんもそうですが、現在世に出回っている検証ソフトすべてが、値幅制限を考慮することが出来ません。
(資金管理を考慮した上記の売買ルールを検証できるのは検証くん以外にありませんし、私も検証くんユーザーですから、検証くんの検証結果を掲載しています。)
上記のすごい年利をたたき出しいてる表はストップ高の銘柄を、終値で買えたという前提の検証結果になってしまっているのです。
これは、実際運用してみれば、すぐにわかることと思います。
では、値幅制限を考慮すると、どの程度パフォーマンスが落ちるのかですが、それは以下の表をみてください。
これは検証くんで吐き出された検証結果を、当方で加工したものです。
具体的には、トレード履歴をExcelに吐き出し、そこに「当日の値動きが値幅制限未満のもののみを抽出する」という処理を施して、検証結果を修正しています。
表をみれば、ストップ高の銘柄を排除してもなお、十分な年利を達成することがお分かりいただけると思います。
この検証結果は、値幅制限も考慮されているものですので、実際に運用可能です。
ただ、引け成りを使用するタイプの売買ルールを運用する場合、ひとつ問題があります。
それは、トレード執行の問題です。
場が動いている最中に、上述のような複雑なスクリーニングを瞬時に実施し、資金管理をも考慮した形で一気に発注をおこなうためには、それなりのシステムを自分で組む必要があります。
マーケットスピードのような証券会社の執行ツールでは、売買ルールどおりに発注することは非常に難しいのが現状です。
そこで、私はどうしているかというと、“タワー”というリアルタイム株価データを配信してくれる情報ベンダーと、“クリック証券のはっちゅう君”を組み合わせて、完全自作のシステムを組んでいます。
「検証くんと、タワーを組み合わせて、エントリー条件に合致した銘柄をスクリーニングし続けて、大引け近くなったら、トレードする銘柄をCSVに出力し、はっちゅう君で一気に発注する。」というのが、私の日課です。
私の場合、本業がSEですので、このようなシステムを組むことが出来ますが、大半の投資家はなかなか難しいと思います。
だからこそ、「引けで買う」という戦略には有効性がまだまだあるというのが、私がこの1年ちょっとトレードしてきて感じることです。
この売買ルールの良いところは、含み損をかかえることによるストレスとは一切無縁のことです。
毎日ポジションを決済するうえに、ドローダウンも10%未満ですから、精神的に非常に楽な状態でトレードし続けることが出来ます。
ちなみに私は、このルールをもう少し運用したら、会社をやめようと思っています。
というのも、この売買ルールを3年運用すれば、最低でも平均毎年2〜3倍程度は資金が増えることでしょう。
種銭が1000万を超えた今、毎年相場だけで2000万強の収入が確保できるわけですから、激務の上に安月給であるSEなんぞ、やめても何ら問題ないと感じています。
これが、自分の感覚等に一切頼っていないシステムトレードという手法の最大のメリットだと思います。
感覚に頼っていないからこそ、裁量トレーダーのような好不調の波がなく、安定した利益が期待できます。
また、長期間におよぶ検証結果から、あらかじめ得られるであろう利益も、被るかもしれない損失も計算できているわけですから、たとえドローダウンを食らっている時期でも心理的なストレスはさほど大きくありません。
感覚としては、本当に毎日、トレードという仕事をして、日給を得ているような感覚です。
といっても、おそろしく時給の高い仕事ですが・・・(笑)
なお検証くんの検証結果はIITの許可を得て掲載しています。
検証くんは、資金管理が行えることや、検証の正確性からいって市販ソフトの中では、もっとも良いシステムトレード検証ソフトであり、それは多くのユーザーが同意するところかと思います。
あなたがC#でバリバリプログラムを書くことが出来ないのならば、検証くんを使って検証するのがシステムトレードで成功する上で最も近道でしょう。
検証くん公式ホームページはこちら
【補足】
今回紹介した売買ルールの検証結果をみて、あなたは「検証期間が短くない?」と感じたかもしれません。
なぜ2002年からの検証しかやっていないかというと、そもそもストップ高、ストップ安という制度が導入されたのが2001年のことだからです。
このように取引制度が大きく変わった場合は、その変更前のバックテストは全く意味を成さないと私は考えているため、制度変更後のデータのみで検証を行っています。