花岡氏は「現職の空自トップがこうした論文を発表すれば、今回の事態を招くことは予想できた。だから、あくまで条件付きの決定だった」と語る。
元谷代表からの抗議の電話は、中山泰秀衆院議員や代理で審査に当たった秘書の山本秀一氏にかかってきた。山本氏によると、田母神氏が更迭された後の11月上旬、山本氏がテレビ番組のインタビューに応じ「(田母神論文に)私は0点をつけた」と話したところ、元谷代表が電話で「事実と違う」と強く抗議してきたという。
山本氏によると、田母神論文にいったん5点満点中「2点」をつけたが、誤ってアパの指示より1作品多い論文に点数を付けていたため、2回目の審査会の席上、点数のない「選外」に変更したという。
中山議員への電話では「あなたの秘書は2点から最低点ではなく、最高点に付け直したんだ。ウソをつくと選挙に落ちる。政治生命を失う」と語ったという。中山議員に審査委員を依頼した理由について「外務政務官だった肩書がほしかったからだ」とも明かしたという。中山議員はこうした経緯を大阪府警に相談しているという。
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防衛省人事教育局は、現職自衛官が民間主催の懸賞論文で懸賞金を受け取っても問題のない要件として、「公平・公正な審査」を挙げている。要件を欠く場合、自衛隊員倫理法や自衛隊員倫理規程で禁止されている、利害関係者からの贈与等に当たるおそれがあるという。田母神氏は受賞当時は現職の航空幕僚長だったが、その後更迭されて退職した。(武田肇)
■審査委員の話