男性の遺体が見つかったショッピングセンターの受水槽=3日、三重県松阪市船江町
三重県松阪市船江町の「松阪ショッピングセンターマーム」の屋外に設置されている水道の受水槽(タンク)から11月27日に、自殺とみられる死後1カ月近くの男性の遺体が見つかっていたことがわかった。受水槽の水は発見時まで、ジャスコ松阪店や飲食店、食品販売店などの入る施設全体で、水道水として使われていた。
マームや松阪保健所は「水質に異常はなく健康に問題はない」としている。ただ、客からは「肝炎にはならないか」などとの問い合わせが殺到しているという。
マームや松阪署によると、男性の遺体が見つかったのは、施設裏側の従業員出入り口近くにある受水槽(縦約3メートル、横約12メートル、高さ約3メートル)。管理業者が天井部分に穴があき、槽の中に浮いているのを見つけた。
遺体は同県伊勢市内の40代の男性で、11月1日に行方不明になり、同9日に伊勢署に捜索願が出ていた。松阪署は、男性が施設から飛び降り自殺を図り、受水槽に落ちたとみている。
マームは遺体発見後、水道水の供給を停止し、同保健所に中の水を提出するとともに、水抜きをして槽内を消毒。独自に検査機関で調べた結果、発見直後の水と入れ替え後の水とも、異常やウイルスは発見されなかったという。同保健所も「微生物学的なリスクはないと判断した」としている。
施設では遺体発見の日から飲食店や理容店、エステなど計13店舗が休業。一部必要な水はペットボトルなどで代用した。受水槽の水は11月30日から使用を再開し、12月3日までに全店舗が通常営業を再開した。
マームには、客からの問い合わせがこの数日で、100件以上寄せられた。健康被害の報告はないという。マームは「食品衛生法や水道法上、安全は確認できたが、気持ちの面でご心配をおかけし、申し訳ありません」とコメントしている。
マームはイオンの100%子会社。ジャスコと76の専門店が営業している。(多田晃子)