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| 【岐阜】「バーチャル病院」で自主学習 岐阜大医学部、授業で活用へ2008年12月4日 
 患者ロボットや問診用のバーチャルコンピューターを備えた医療教育施設「バーチャル病院」が、岐阜大医学部(岐阜市柳戸)に完成した。学生たちが医学の基礎を実践に即した形で自主学習できる。開発にかかわった同大大学院医学系研究科の高橋優三教授は「来年度から本格的にカリキュラムに組み込みたい」と意気込む。 「どんな症状ですか」 「まぶたが重くなってきました。手が上がりません」 問いかけに対し、人間らしいしぐさをしながら受け答えするのは、最新の患者ロボット「石乃けい子」さん。“医師のけいこ”からもじって高橋教授が命名した。石乃さんは、「重症筋無力症」の症状を訴える問診・視診用の人間型ロボットだ。「バーチャル病院」には、注射や自動体外式除細動器(AED)、触診を練習できるロボットが約10体並ぶ。 患者データが組み込まれたパソコンシミュレーターでは、パソコン画面のイラストで、患者の身体部分と「視診」「聴診」など診察方法を組み合わせてクリックすると症例が表れる。例えば「左胸」と「視診」「レントゲン」を選ぶと、画面にエックス線写真を表示。これを基に学生が実際の症例から検査法や治療法を考える仕組みだ。 高橋教授によると、医療教育の現場で急速に技術の高度化が進んでいる。岐阜大医学部の今回の取り組みは、市販品でそろえたのではなく、工学部や民間企業と共同で自ら開発した点に特徴がある。患者ロボットもシミュレーターも現状では症例が限られるが、徐々に充実させる予定。 これまで、医学生の臨床実習では不慣れな対応で患者に被害が及び、不安を与えてしまう事例が相次いだ。高橋教授は「患者への負担を少なくするために、医学生が患者に向かう前に失敗を重ねながら学べる設備が必要」と話す。 4年の安藤豪志さん、3年の浦壁昭悟さんはバーチャル病院について「机の上の勉強だけでは頭でっかちになりがち。早いうちからリアルなことを学べる」「実際の患者さんに向き合う前に、思うように練習できる」と話す。 今後、1年生から4年生までが授業の合間に自主的に使えるようにし、来年度のカリキュラムでは「医療実習入門」の授業などで活用する計画だ。 (徳田恵美) 
 
 
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