十勝岳連峰やラベンダー畑を一望できるとして全国にファンが多い上川管内上富良野町の深山(みやま)峠で、高さ50メートルの観覧車を建設する計画が浮上し、景観悪化を懸念する声が上がっている。このため、反対する住民団体と業者は1日、共同で建設予定地から同じ高さまで気球を上げ、気球がどの程度まで視界に入ってくるかを検証した。業者は「建設中止は考えていないが、今後も話し合いを続けたい」としている。
業者は深山峠で観光施設「トリックアート美術館」を経営する「アラタ工業」(上富良野町、荒田政一社長)。観覧車は施設敷地に中古品を利用して建設。直径47メートルで、4人乗りのゴンドラが30個付く。法令上の問題はなく、町や観光協会などは「滞在型観光拠点として期待できる」として計画を了承。年内に着工し、来年のゴールデンウイークの営業開始を目指している。
深山峠は国道237号の上川管内美瑛町-上富良野町間にあり、年間20万人を超える観光客が訪れる。風景写真の絶好のスポットとして人気も高いため、地元の写真家らが住民団体を結成し、インターネットを通じて反対署名を募っている。
今回の試みは住民団体の要望を受けて実現。メンバーは周辺から写真を撮影し、気球の影響を確認した。参加した同町在住の写真家、津幡昭さん(59)は「景色を楽しみに来る観光客も多く、観覧車を不快に思うはず」と批判した。【横田信行】
毎日新聞 2008年12月1日 22時13分