ハンセン病患者の強制隔離されてきた歴史を学ぶ公開講座が三日、大津市坂本の天台宗務庁で開かれた。
天台宗の人権啓発活動の一環。今年からハンセン病問題を重点活動の一つとしており、宗内関係者など百人が参加した。
ハンセン病の元患者が殺人罪に問われて死刑になった事件を題材にした映画「新・あつい壁」(中山節夫監督)を上映した後、元患者の森元美代治さん(70)が講演した。
森元さんは中学三年のときにハンセン病と診断され、療養所に隔離されながら、病気を治し大学を卒業。二十八歳で社会復帰した経験や、国連本部で行ったスピーチについて話した。
一九九六年にらい予防法が廃止され、国家賠償訴訟に勝利してもハンセン病に対する誤解や偏見、差別は今も残る。森元さんは「患者は長年、犯罪者と同じような扱いを受けてきた。患者の名誉、人権を回復させることは国家の威信を回復することになる」と病気への正しい理解を訴えていた。 (曽布川剛)
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