群馬県議会議員 中村紀雄
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今見るシベリア強制抑留の真実

第2回 ハバロフスク事件

(7)日本人を「意気地なし」と軽蔑した外国人

 日本人が結束して闘う姿は、同じ収容所の外国人を驚かせた。ハバロフスクには、中国人、朝鮮人、蒙古人がかなりの数、収容されていたが、彼らの代表が、ある時、闘う日本人を訪ねて共闘を申し込み、こう発言したという。

「私たちは、これまで、日本人は何と生気地がないのかと思っていました。日本に帰りたいばかりに、何でもソ連の言いなりになっている。それだけでなく、ソ連に媚(こ)びたり、へつらったりしている。情けないことだと思いました。これが、かつて、私たちの上に立って支配していた民族か、これが日本人の本性かと、実は、軽蔑していました。ところが、この度の一糸乱れぬ見事な闘いぶりを見て、私達が誤っていた。やはり、これが真実の日本人だと思いました。私達も出来るだけの応援をしたい」

 石田三郎達は、この言葉に感激した。そして、これまでの自分たちが軽蔑されるのは当然だと思った。ソ同盟万歳を叫び、赤旗を振って労働歌を歌い、スターリン元師に対して感謝状を書くといった、同胞のこれまでの姿を、石田三郎は、改めて思い返し、日本人収容者全体の問題として恥じた。

 いくつもの抑留者の手記で述べられていることであるが、戦いに敗れて、同じように強制労働に服していたドイツ人は、収容所側の不当な扱いには、毅然とした態度をとったという。又、ある手記によれば、メーデーの日に、日本人が赤旗を先頭に立てて祝賀行進していると、一人のドイツ人捕虜の若者が、その赤旗を奪いとって地上に投げ、「日本の国旗は赤旗なのか」と怒鳴った。この若者は、同じようにソ連から理不尽な扱いを受けている仲間として日本人が、共通の敵に対して尾を振るような姿を許せなかったのであろう。



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