「このままだと自殺者が出るかもしれない」。約1千人規模で正社員の人員削減を進めている日本IBMの労組側が3日、東京都内で記者会見し、「10月下旬から始まった退職勧奨が徐々に強まり、48時間以内に退職を選ばないと解雇すると迫られる社員もいる。法的手続きも検討したい」と訴えた。労組には10月下旬以降、退職勧奨を巡る相談が約80件寄せられている。
会見したのは、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)幹部と、同労組日本アイビーエム支部の組合員ら。5人が退職勧奨された際の体験を語った。
「このままでは解雇もあり得る」。面談での「退職勧奨」を断った木村剛さん(58)は11月中旬、上司からこんなメールを受け取った。「脅しだと思いました」
勤続24年の中村明さん(51)は、1日付で発足した新しい部署に配属された。上司からは「退職勧奨を断った人を集めて新組織を作ったので、行ってもらう」と説明された。今のところ席はそのままで、これまで通り仕事を続けている。「仕事をやっていようがいまいがこうした仕打ちを受ける。これからどうなるか、不安だ」
同支部には、社員9人から「上司に48時間以内に退職届を出さなければ解雇すると言われた」との相談が寄せられ、その後、全員が退職を決めた。退職勧奨された社員の妻から「このままでは夫が自殺するかもしれない。退職強要をやめさせてほしい」という相談も来ている。
同社広報は「上司が業績の上がらない社員と今後のキャリアについて面談することはあるが、人員削減が目的ではない。個別の面談内容については把握していない」とコメントしている。(古知朋子)